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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] BBB(blood-brain barrier: 血液脳関門)

 小児に対する環境や加齢の影響はかなり小さいことから、小児神経疾患は先天性、すなわち遺伝的なものである。また、生後間もない神経細胞やアストロサイトはほとんど複製されないことから、遺伝子治療やゲノム編集が小児神経疾患の遺伝子治療において有望である。一方で、ゲノム編集に利用されるCas9システムのデリバリーに利用されるアデノ随伴ウイルス(AAV)の脳への循環分布が、血液脳関門(BBB)によって制限されてしまう。髄腔内投与することである程度分布を改善できるが、脳細胞の20%以下にとどまる。

 BBBは、集束超音波(focused ultrasound: FUS)によって一過性に安全に開くことができる。テキサス大学サウスウエスタン・メディカル・センターを主とする研究チームは今回、FUSを利用して海馬のBBBを開き、AAV9を介してCas9遺伝子を髄腔内投与した。これにより、脳への侵入、その後の血管循環、そして開いたBBBを介した再侵入が可能となった。

 研究チームはFUSを介して、形の崩れた枝分かれしたグリコーゲンの蓄積による神経炎症性疾患であるラフォラ病のモデルマウスに、FUS-AAV9を介して、グリコーゲン枝伸長酵素グリコーゲン合成酵素の遺伝子を標的とするSaCas9-sgRNAを送達した。

 その結果、劇的に(2000倍)海馬のCas9分布が改善され、病原性グリコーゲンの蓄積と海馬の炎症が大幅に抑制された。FUSは他の適応症でも臨床使用されている。

 本研究は、FUSが脳疾患の対応する病理学的基盤の除去とともに、遺伝子導入や編集を大幅に拡大する可能性があることを示している。

[出典] "Focused ultrasound widely broadens AAV-delivered Cas9 distribution and activity" Gumusgoz E [..] Shah BR, Minassian BA. Gene Ther. 2025-02-01. https://doi.org/10.1038/s41434-025-00517-w [著者所属] U Texas Southwestern Medical Center (Dept Pediatrics, Focused Ultrasound Lab and Program, Advanced Imaging Research Center, Advanced Neuroscience Imaging Research Lab, Dept Neurology), FUS Instruments Inc (USA), Solenic Medical Inc (USA), Mansoura U (Egypt)
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