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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 調節DNA中の一塩基変異(SNV)は、遺伝性がんリスクと関連している。ヒト悪性腫瘍の90%以上を占める13の新生物に関連する4,041SNVの超並列レポーターアッセイ(Massively parallel reporter assays: MPRA)を、適切なヒト初代細胞で実施し、クロマチンアクセシビリティ、DNAルーピング、 発現量的形質遺伝子座(expression-Quantitative Trait Locus: eQTL)のデータと統合して、380の潜在的制御SNVとその標的遺伝子を推定した。後者は、ミトコンドリア翻訳、DNA損傷修復、Rho GTPase活性を含む、生涯がんリスクにおける特定のタンパク質ネットワークを際立たせた。

 さらにCRISPRノックアウト・スクリーニングにより、生殖細胞系列の推定リスク遺伝子のサブセットが、確立した癌の増殖も可能にすることが示された。SNVsの一つであるrs10411210を編集すると、そのリスク対立遺伝子はロフィリンRHPN2 の発現と刺激応答性RhoAの活性化を増加させることが示され、SNVsがそれぞれ、がんに関連する経路をアップレギュレートする可能性が示された。

 これらの機能的データは、バリアントの優先順位付けの努力や、遺伝性がんリスクの根底にあるメカニズムのさらなる探究のための情報資源となる。

[出典] "Functional analysis of cancer-associated germline risk variants" Kellman LN [..] Khavari PA. Nat Genet 2025-02-17. https://doi.org/10.1038/s41588-024-02070-5 [著者所属]  Stanford U School of Medicine (Program in Epithelial Biology, Program in Cancer Biology, Dept Genetics, Dept Pathology, Dept Biomedical Data Science), Veterans Affairs Palo Alto Healthcare System, Palo Alto, CA, USA
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