[注] 最高人民法院(Supreme People’s Court; 日本の最高裁判所に相当);ペーパーミル(paper mills):ここでは製紙工場ではなく不正論文生産工場を意味する。出典のNature Newsでは、「ペーパーミルは、履歴書を飾るために学術雑誌の論文を欲しがる研究者に、疑わしい研究や著者の名前を売る」と記述されている。
日本の科学・学術政策研究所の報告書「科学技術指標2024」によると、「世界の論文の生産への関与度」と「世界の論文の生産への貢献度」のいずれについても、中国が、それぞれ、2018年と2017年に、米国を抜いて世界1位になり, それを維持している。一方で、中国は、いわゆるハゲタカジャーナルへの投稿や撤回論文数が極めて多い問題を認識して、国として対策を打ってきている [*]。その中で今回は、最高人民法院(日本の最高裁判所に相当)が、25条の技術革新に向けたガイドラインの一つとして「研究不正は厳罰に処すべきであり、下級裁判所はペーパーミルを取り締まるべきだ」と表明した。
中国では下級審でペーパーミルが絡む裁判が増えている。2013年から2024年の間に、ゴーストライティング(代作)・サービスに関連する41件の事件が確認された。ネイチャー誌と共有された報告書には、ペーパーミルから執筆やその他の学術出版サービスの対価を支払った研究者や、契約を履行しなかったペーパーミルに関わる民事事件も含まれている。ガイドラインでは、主としてペーパーミルに対する処罰が厳しくされている。
[*]
- "Combating China's retraction crisis" Xu SB, Hu G. Nat Hum Behav. 2025-01-23. https://doi.org/10.1038/s41562-024-02099-w [著者所属] Huanggang Normal University, The Hong Kong Polytechnic University
- 2024-03-15 中国は「疑わしいジャーナル」のリストを毎年更新している. https://crisp-bio.blog.jp/archives/35261436.html
[出典] NEWS "China’s supreme court calls for crack down on paper mills" Mallapaty S. Nature 2025-03-04. https://doi.org/10.1038/d41586-025-00612-3
コメント