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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 蝸牛細胞における巨大なギャップ結合を形成する主要なタンパク質の一つであるコネキシン26(CX26)をコードするギャップ結合β2(GJB2)遺伝子の変異は、遺伝性難聴で最も高頻度に検出される変異である。これらの変異は、ギャップジャンクションとギャップジャンクション・プラーク(GJP)の変性と断片化という病態を引き起こす。中でも、R75WのようなGJB2のドミナントネガティブ変異は、症候性難聴に加えて皮膚疾患である掌蹠角化症引き起こす。

 順天堂大学の研究チームは以前、CがTに置き換わる一塩基置換であるR75W変異がGJPの断片化を引き起こすことを報告した [BMC Genet, 2014]。従って、AからGへの塩基変換を可能にするアデニン塩基エディター(ABE)は、この遺伝性疾患の治療に有用である可能性がある。

 順天堂大学に東京大学が加わった研究チームは今回、アデノ随伴ウイルス (AAV) ベクターに、GJB2のR75W変異を標的とするsgRNAと、コンパクトでPAM配列がNNGと標的可能範囲が広いSaCas9-NNGをベースとするABE (SaCas9-NNG-ABE8e) を組み込んだオールインワンベクターを用いることで、スクリーンショット 2025-03-13 16.14.32この病的変異が修正され、GJPのギャップジャンクション細胞間情報伝達ネットワークの回復が促進されることを、示した [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。

 GJB2 R75W変異を導入したトランスジェニックマウスモデルにおいても、AAVを介した塩基編集により、断片化したGJPが蝸牛支持細胞において整然とした輪郭を取り戻すことができた。

 本研究の成果は、ABEを利用した塩基編集戦略が、顕性型GJB2関連難聴、GJB2関連皮膚疾患、および他の難聴関連変異、特に一塩基置換に対する最適な治療法となり得ることを示唆している。

[出典]
  • 論文 "AAV-mediated base editing restores cochlear gap junction in GJB2 dominant-negative mutation-associated syndromic hearing loss model" Ukaji T [..] Nureki O, Kamiya K. JCI Insight. 2025-03-10. https://doi.org/10.1172/jci.insight.185193 [著者所属] 順天堂大, 東大
  • 詳細な日本語解説 "遺伝性難聴へのゲノム編集技術を開発―内耳の異常タンパク質を修復する新たな難聴治療技術―" 順天堂大学 2025-03-11. https://www.juntendo.ac.jp/news/22163.html
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