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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 英国オックスフォード大学の研究チームが今回、安定した単層培養が可能で網膜色素上皮(RPE)の特性を備えたAMD研究の理想的な細胞モデルのARPE-19細胞株において、CFH 遺伝子とCFB 遺伝子を対象としたターゲットPCRを介して、AMD関連SNPを同定した上で、CRISPR-Cas9をレンチウイルスベクターで送達することで、対立遺伝子特異的編集を試みた。

 標的の編集効率はガイドRNAの有効性に応じて変動した。TIDE解析により、例えば、CFH SNPの rs1061170とrs1410996についてはそれぞれ35.5%と33.8%の効率が得られ、CFB SNPのrs4541862とrs641153についてはそれぞれ3%〜36.7%と。3.4%〜23.8%の範囲の効率となった。さらに、ヘテロ接合性分化 ARPE-19 細胞における AMD 関連 SNP rs1061170、rs1410996、rs4541862、rs641153 の対立遺伝子特異的編集効率は48% から 52% の範囲となった。

 これらの知見は、疾患関連 SNP の対立遺伝子特異的CRISPR-Cas9編集により、AMD モデル細胞における補体系を操作できる可能性を示し、ひいては、その治療可能性も示唆する。

[出典] "CRISPR targeting of SNPs associated with age-related macular degeneration in ARPE-19 cells: a potential model for manipulating the complement system” Salman A [..] MacLaren RE. Gene Therapy. 2025-03-18. https://doi.org/10.1038/s41434-025-00522-z [著者所属] U Oxford (Nuffield Department of Clinical Neurosciences), Oxford Eye Hospital
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