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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 CRISPR-Cas9 は、高い特異性が求められるsgRNAをプログラムすることで、ゲノム工学に革命を起こした。しかし、ガイドRNAがオン/オフターゲットDNA配列の識別を裏付ける正確な分子メカニズムの理解は未だ不十分である。

 ボストンとフィラデルフィアの研究チームが今回、高磁場NMR を使用して、in vitro で組み立てられた複数のホロ酵素を分析し、プロトスペーサー隣接モチーフ (PAM) 遠位端での DNAミスマッチの認識を可能にする個別のタンパク質コンフォメーション状態を解明した。

 すなわち、SpCas9のREC3がアロステリック スイッチとして機能し、「事前アクティブ」状態とHNH ドメインによる触媒的に有効な状態のサンプリングが進行する「監視」状態を切り替えることを明らかにしました。REC3 および HNH サブドメインのミリ秒単位の動きが、特に PAM 遠位ミスマッチにおける切断特異性を調節している。高忠実度Cas9(HiFi Cas9 (R691A) )では、ミスマッチ基質との「監視状態」が安定化され、Cas9コンフォメーションの平衡を活性状態からシフトさせることで、DNA 認識の忠実度を高めるていることも、明らかになった。

[出典] "Dynamic sampling of a surveillance state enables DNA proofreading by Cas9" De Paula VS, Dubey A, Arthanari H, Sgourakis NG. Cell Chem Biology. 2025-02-20. https://doi.org/ 10.1016/j.chembiol.2024.10.001 [著者所属] U Pennsylvania (Dept Biochemistry and Biophysics), The Children's Hospital of Philadelphia (Center for Computational and Genomic Medicine), Harvard Medical School (Dept Biological Chemistry and Molecular Pharmacology), Dana-Farber Cancer Institute (Dept Cancer Biology)グラフィカルアブストラクト
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