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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 非増殖型アデノウイルスベースの遺伝子治療ベクターは、効果的で堅牢な生体内遺伝子移入を媒介することが実証された最初のベクターであった。ゲノム工学の容易さ、大きな容量、およびベクターの大規模生産法の確立により、アデノウイルスベクターは遺伝子治療の初期の頃の送達手段の主流となった。また、カプシド工学、プログラム可能な細胞特異的なトランスジーン発現などの多くのベクター改変は、アデノウイルスベクターで初めて実証された。

 一方で、初期のヒト研究では、アデノウイルスベクターに対する自然免疫および獲得免疫応答から生じる安全性と有効性の問題が明らかにされ、臨床応用には期待外れに終わった。

 多くの遺伝子治療研究者が他のベクターに移行した一方で、他の研究者は、免疫応答とトランスジーン発現の限られた期間は適切な状況で有用であることを認識した。その顕著な例が、推定20億人に投与されたCOVID-19ワクチンとして設計されたいくつかの効果的なアデノウイルスベクターである。

 アデノウイルスベクターは現在、ワクチンに加えて、抗がん療法、組織リモデリング、遺伝子編集に利用されている [出典内の"Resuregence of Interest in Adenovirus Vectors"の項]。

[出典] Review "Four Decades of Adenovirus Gene Transfer Vectors: History and Current Use" Hackett NR, Crystal RG. Mol Ther. 2025-04-02. https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2025.03.062 [著者所属] Weill Cornell Medical College (Dept Gnetic Medicine);グラフィカルアブストラクト;参考文献143件と本文(一段組PDF 18ページ)
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