crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 三次元(3D)ゲノム構造は、生物の成長、老化、そして疾患の過程で変化することが知られているが、クロマチンのトポロジーを制御する因子は未だ完全には解明されていない。また、多様なスケールでクロマチン構造を制御する新たな因子を効率的にスクリーニングできる技術も現存しない。

 イエール大学のiyuan Wang准教授らを主とする研究チームは今回、Perturb-tracingプール型CRISPRスクリーニングに、新たに開発した細胞バーコード読み取り法(barcode amplification by rolling circle and fluorescence in situ hybridization: BARC-FISH)、そして顕微鏡をベースとするクロマチントレーシングを組み合わせた、画像ベースのハイコンテントスクリーニングプラットフォームを開発し、'Perturb-tracing'と称した [Fig. 1引用右図参照]

 Perturb-tracingを利用して、ヒト細胞において機能喪失スクリーニングを実施した。420個のsgRNAを用いて137個の候補遺伝子をスクリーニングし、細胞あたり30個のクロマチンまたは細胞標的を画像化し、12,600個の画像化標的と摂動の組み合わせを生成した。このスクリーニングにより、クロマチンのドメインやコンパートメントから染色体領域に至るまで、ループ押し出し(loop extrusion)や、AコンパートメントとBコンパートメントの区画化機構に関連する既知の制御因子に加えて、様々なサイズのスケールで、クロマチン・フォールディングを制御する新たな制御因子21種類同定した。これらの調節因子は相関解析の結果、既知の3Dゲノム制御機構と連携して機能していることが明らかになった。さらに、クロマチン凝縮制御と核球状性の維持の間には一般的な関連性があることも発見した。

 本手法は、クロマチンおよび核トポロジー制御因子のスケーラブルかつハイコンテントな同定を可能にし、3Dゲノムへの新たな知見の獲得を促進するものである。

[参考] 局所的なクロマチン・アクセシビリティーを調節する因子の同定
 
 2022年に、Perturb-seqとトランスポザーゼがアクセス可能なクロマチンのシングルセル・アッセイをシーケンシングと組み合わせたハイコンテントCRISPRスクリーニングにより、局所的なクロマチン・アクセシビリティーを調節する因子をハイスループットで同定したことが、報告されていた [crisp_bio 2022-05-22 CRISPRで誘導した摂動とクロマチンアクセシビリティーの変化をシングルセルで測定する法 - 2報]。

[出典]
  • News & Views "Pooled CRISPR screening with optical sequencing reveals regulators of 3D chromatin organization" Adli M. Nat Methods 2025-04-10. https://doi.org/10.1038/s41592-025-02633-2 [著者所属] Feinberg School of Medicine at Northwestern U
  • "Perturb-tracing enables high-content screening of multi-scale 3D genome regulators" Cheng Y [..] Wang S. Nat Methods 2025-04-10. https://doi.org/10.1038/s41592-025-02652-z [著者所属] Yale U, Yale U School of Medicine, U Virginia.
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