CRISPR-Casの発見、そしてその後の特性評価と応用は、科学において過去20年間で最も興味深い物語の一つである。このワークフォース(workforce)は大腸菌で初めて同定されたが、適応免疫システムとしてのCRISPR-Casの機能を詳細に解明しようとする研究競争の中では、大腸菌は蚊帳の外になっていた。これは理由があり、大腸菌で発見されたCRISPR-Casシステムが、Streptococcus thermophilusで初めて報告されたような強力なファージ防御システムではないことが、初期に認識されたためである。
その後、大腸菌CRISPR-Casの見かけ上の活性の欠如は、核様体タンパク質H-NSによる転写抑制に起因することが判明した。このように適応免疫の機能を否定するエビデンスが示されてきたにも関わらず、一部の研究では依然として、大腸菌CRISPR-Casシステムが抗ファージ活性や抗プラスミド活性という文脈で語られている。
ペンシルベニア州立大学の研究チームが今回、大腸菌CRISPR-Casシステムの不可解な性質を理解するきっかけとなった研究と、大腸菌の潜在的な代替機能を発見するための進行中の研究について取り上げている。
[出典] Review "The E. coli CRISPR-Cas conundrum: are they functional immune systems or genomic singularities?" Dudley EG. EcoSal Plus. 2025-04-09. https://doi.org/10.1128/ecosalplus.esp-0040-2020 [著者所属] The Pennsylvania State University (Dept Food Science, The Penn State E. coli Reference Center)
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