相同組換え修復(HDR)に基づくゲノム編集は、広範囲の遺伝性疾患を永久に修正できるアプローチである。しかし、終末分化組織における非効率的で不正確な DNA 修復機構によって、その利用には限界がある。ベイラー医科大学、ライス大学、アルニラム・ファーマシューティカルズなど、米国とカナダの研究チームが今回、HDRの効率を高めるため、Repair Driveと呼ばれる、遺伝子標的肝細胞を生体内で選択的に増殖させる戦略を開発した。
Repair Driveは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)標識siRNAを用いて必須遺伝子をノックダウンすることによる肝臓の一過性コンディショニングと、CRISPR-SaCas9によるHDRを介した遺伝子編集が実現した肝細胞の選択的増殖とで構成される。選択マーカーとしては、治療用トランスジーンとシスに必須遺伝子を導入し、肝臓で高発現している遺伝子座 (アポリポタンパク質A1-Apoa1)*に導入する。
[*] 研究チームは先行研究で、Apoa1 遺伝子座が肝臓において治療用トランスジーンの強力な発現を誘導することを、確認していた。
肝臓コンディショニング中に、必須遺伝子を欠失し、HDRが然るべく進行せずに必須遺伝子が補充されていない非標的肝細胞が徐々に減少し、選択マーカーによって保護され治療用トランスジーンを発現する標的細胞が選択的に増殖すると考えられる。こうして、時間の経過とともに、正しく修復された細胞は分裂し、肝臓内で再び増殖し、選択期間後、必須遺伝子の発現は正常に戻る。
[*] 研究チームは先行研究で、Apoa1 遺伝子座が肝臓において治療用トランスジーンの強力な発現を誘導することを、確認していた。
肝臓コンディショニング中に、必須遺伝子を欠失し、HDRが然るべく進行せずに必須遺伝子が補充されていない非標的肝細胞が徐々に減少し、選択マーカーによって保護され治療用トランスジーンを発現する標的細胞が選択的に増殖すると考えられる。こうして、時間の経過とともに、正しく修復された細胞は分裂し、肝臓内で再び増殖し、選択期間後、必須遺伝子の発現は正常に戻る。
コンディショニング剤として、肝細胞に必須の遺伝子フマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ (Fah) を選択した。 Fahはチロシン分解の最終段階を触媒し、その欠損は毒性分解産物の蓄積につながり、細胞死につながる。
Repair Driveによって、正しく修復された肝細胞の割合が劇的に増加し、治療用トランスジーンの持続的な発現が可能になった。健康な野生型マウスで正しく標的とされた肝細胞の割合が最大 25% 増加し、その結果、治療用トランスジーンであるヒト因子 IX(FIX)の発現が 5 倍に増加した。また、Repair Drive は忍容性が良好で、1 年間の追跡期間中に毒性や腫瘍形成を誘発しなかった。
本研究は、体細胞ゲノム編集で治療できる肝疾患の範囲が広がる可能性を示した。
[出典] "In vivo expansion of gene-targeted hepatocytes through transient inhibition of an essential gene" De Giorgi M [..] Bao G, Lagor WR. (bioRxiv 2024-07-29) Sci Transl Med. 2025-02-12. https://doi.org/10.1126/scitranslmed.adk3920 [著者所属] Baylor College of Medicine, Rice U, Alnylam Pharmaceuticals Inc, Texas Children's Hospital, U Vivtoria, Texas Heart Institute, Duke U
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