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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 ローザンヌ大学の研究チームが今回、情報処理が特殊化した細胞種に分散された多細胞コンソーシアムを設計した。

 情報を送信する細胞集団と受信する細胞集団を共培養する系で、受信細胞で発現させているdCas9に送信細胞集団からファージミドを介してsgRNAを伝達するようにM13ファージを改変した。送達されたsgRNAは受信細胞集団において、レポーター遺伝子の転写を直接またはCRISPRiカスケードを介して阻害する。Engineering intercellular communicationさらに、化学誘導剤を用いて、複数の送信細胞からのファージミドの伝達を誘導または阻害することも可能にしている [Fig. 1引用右図参照]

 このアプローチにより、複雑な遺伝子回路を大腸菌株のコンソーシアムのメンバーに分割した、1入力、2入力、および4入力の論理ゲートを実現した:
 また、クォラムセンシングベースのコミュニケーションとの直接比較により、ファージミドベースのコミュニケーションの方が高い感度を示すことが確認された。

 こうして細胞間コミュニケーションのためのツールキットを拡張したことで、バイオコンピューティング、バイオセンシング、バイオ製​​造など、多様な潜在的用途を持つ合成微生物コンソーシアムにおける複雑な情報処理への道が開かれた。

[出典] "Engineering intercellular communication using M13 phagemid and CRISPR-based gene regulation for multicellular computing in Escherichia coli " Kusumawardhani H, Zoppi F, Avendaño R, Schaerli Y. Nat Commun. 2024-05-15. https://doi.org/10.1038/s41467-025-58760-z [著者所属] U Lausanne (Dept Fundamental Microbiology)
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