培養肉生産には、サテライト細胞(Muscle satellite cells: MSCs)が必須であるが、寿命が短く、長期培養中に幹細胞性が低下することが、培養肉産業の課題になっている。タイの研究チームが今回、CRISPR/Cas9によりTP53 遺伝子を欠損させることで不死化ブタMSCを樹立した。
今回は、複数のTP53 ノックアウト(KO)クローンが生成され、インデル変異とモノアレルおよびバイアレル欠失が見られ、何よりも、野生型細胞に比べて細胞寿命が著しく伸び、老化の制約が克服された。
TP53 -KOクローンの成長率と増殖のマーカー(ki67)遺伝子発現(20継代)も、野生型細胞に比べて劇的に上昇した。
不死化TP53 -KOクローンは、野生型細胞と比較して、筋肉特異的タンパク質マーカーの発現能力は維持していた。さらに、腫瘍形成能を示したTP53-KOクローン41および42を除き、全てのクローンは非腫瘍形成性を示した。
TP53 -KOクローンは、複数回の継代培養後、野生型細胞と比較して筋芽細胞への分化効率が向上した。
これらの結果は、TP53 -KO MSCが将来の培養肉生産のための細胞資源として有望であることを示唆している。
[出典] "Development of CRISRP/Cas9-based TP53-knockout pig muscle stem cells for use in the cultured meat industry" Serila W [..] Noisa P. 3 Biotech. 2025-03-19/Apr. https://doi.org/10.1007/s13205-025-04225-5 [著者所属] Suranaree U Technology, Rajamangala U
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