[注] 本ブログ記事はCRISPR-Casによる微生物ゲノム編集関連文献2件の紹介も含む
適応的実験室進化(Adaptive Laboratory Evolution: ALE)は、生産能力とストレス耐性を向上させた産業用微生物株を開発するための強力なツールである。さらに、ALE集団または進化したクローンに次世代シークエンシングを適用することで、選択によって濃縮された適応型アレルを正確に特定することが可能になる。この知見により、進化した変異を親株にリバースエンジニアリングすることが可能になり、アレル特異的な適応度に関する知見が得られ、産業用株の合理的な設計につながる。
適応的実験室進化(Adaptive Laboratory Evolution: ALE)は、生産能力とストレス耐性を向上させた産業用微生物株を開発するための強力なツールである。さらに、ALE集団または進化したクローンに次世代シークエンシングを適用することで、選択によって濃縮された適応型アレルを正確に特定することが可能になる。この知見により、進化した変異を親株にリバースエンジニアリングすることが可能になり、アレル特異的な適応度に関する知見が得られ、産業用株の合理的な設計につながる。
Escherichia coli はモデル微生物であるとともに産業上も有用な細菌であるが、サトウキビやテンサイなどの豊富な原料から得られる費用対効果の高い炭素源であるスクロースを利用できない。この弱点は、大腸菌W株および腸管病原性菌株のオペロンに天然に存在するcscB、cscK、およびcscA 遺伝子を野生株や産業株に導入することで解消可能であるが、異種経路の導入には、宿主の代謝ネットワークへのシームレスな統合を確保し、ショ糖利用を高めるためにリバースエンジニアリング可能な遺伝子標的を特定することが必要になる。ここにALEを利用することができる。
独米の研究チームが今回、スクロースを唯一の炭素源とする大腸菌の増殖を改善することを目的とするALE実験を行った。その中で、ALE変異のリバースエンジニアリングのためのCRISPR/Cas9ワークフローを効率化するため、酵母用に開発されたEasyGuideアプローチ [*1] を大腸菌に適応させ、"EasyGuide CRISPR"として発表した。
EasyGuide-CRISPRは、大腸菌の自然な組み換えシステムを利用して、重複するPCR断片からgRNAプラスミドを組み立てるプラスミドプラットフォームであり、加えて、gRNAとドナーDNAの生成には、40~60 mer オリゴヌクレオチド3本からgRNAとドナーDNAをPCRで効率よく合成するEasyOligoのアプローチを導入し、さらなる効率化を実現した。
EasyGuide CRISPRを利用して、E. coli DH5αに22の遺伝子編集を加えた。そのほとんどは、スクロース増殖用に選択されたE. coli DH5αおよびE2348/69 ALE集団にマッピングされた対立遺伝子である。DH5α ALEでは、高コピープラスミドからのcscBKA オペロンの発現によってスクロースが消費された。
ALEの過程において、プラスミドの染色体への組み込み、またはpcnB 欠失によるコピー数の減少が30~35%の適応度向上をもたらした。また、鞭毛組み立てに関わるfli オペロンに関わる約40.4 kbの欠失も約5%の適応度向上をもたらした。E2348/69 ALEにおいて、hfl システムの不活性化が、λ-プロファージの休眠状態(溶原性)を維持するための選択圧を示唆した。
研究チームはEasgyGuideを利用することで、大腸菌によるスクロースからのポリヒドロキシ酪酸合成を確立した。
研究チームはEasgyGuideを利用することで、大腸菌によるスクロースからのポリヒドロキシ酪酸合成を確立した。
本研究は、費用対効果の高い炭素源を用いた微生物生産を促進するために、ALEと合理化されたCRISPR介在アレル編集を組み合わせることの重要性を示した。
[出典] "Engineering Adaptive Alleles for Escherichia coli Growth on Sucrose Using the EasyGuide CRISPR System" Barreto JA [..] Gross J. J Biotechnol. 2025-04-17. https://doi.org/10.1016/j.jbiotec.2025.04.016 [著者所属] São Paulo State U
[引用および関連論文とcrisp_bio記事]
1. 酵母 (S. cerevisiae) におけるCRISPR/Cas9アプリケーションのためのgRNAのin vivoアセンブリをサポートするEasyGuideプラスミド
[引用および関連論文とcrisp_bio記事]
1. 酵母 (S. cerevisiae) におけるCRISPR/Cas9アプリケーションのためのgRNAのin vivoアセンブリをサポートするEasyGuideプラスミド
[出典] "EasyGuide Plasmids Support in Vivo Assembly of gRNAs for CRISPR/Cas9 Applications in Saccharomyces cerevisiae" Jacobus AP [..] Gross J. ACS Synth Biol 2022-10-18/11-18. https://doi.org/ 10.1021/acssynbio.2c00348 [著者所属] Sao Paulo State U, U Campinas.
酵母におけるCRISPR/Cas9遺伝子編集は、ほとんどの場合、Cas9と各標的に合わせて調整された20ヌクレオチド(nts)のスペーサーを含むガイドRNA(gRNA)のプラスミドベースの発現に依存している。このカスタマイズされたgRNAの長いアセンブリには、大腸菌でのプレクローニング、精製、検証、そしてCas9との酵母株への共形質転換に少なくとも3~5日を要する。このプロセスの効率化を目的として、ブラジルの研究チームが12種類のEasyGuideプラスミドシリーズを構築した。
新しいベクターは、20ヌクレオチドのスペーサー間の相同組換えを介して最大6個の機能的なgRNAを酵母に直接アセンブルできるPCRフラグメントを生成するためのテンプレートを提供する。大腸菌でのプレクローニングが不要になったことで、酵母のin vivo gRNAアセンブリはCRISPR/Cas9実験の作業負荷が大幅に削減された。 こうして、gRNA とドナーの PCR 増幅とそれに続く Cas9 発現株への変換を含む、非常に効率的な酵母ゲノム編集を、簡単なプロトコルで実行可能になった。
減弱化は、ガイドRNA(gRNA)のフォーマットや発現強度の変更、切断活性を低下させたヌクレアーゼの使用、あるいは破壊的なヘアピン、ヌクレアーゼ結合スキャフォールドの改変、非標準的なPAM、またはガイドミスマッチを有する減弱gRNA(attenuated gRNAs: atgRNA)の設計によって達成できる [Fig. 2引用右図 a とb 参照]。これらの改変により、Escherichia coli および Klebsiella oxytoca におけるCas9およびCas12aに対する様々なタイプの編集の効率が大幅に向上する。さらに、atgRNAを用いて肺炎桿菌のアンピシリン感受性を回復させ、遺伝学的研究のための耐性マーカーを確立した。
3. crisp_bio 2022-02-15 適応的実験室進化にCRISPR技術を介した追跡可能なゲノム工学を統合することで,大腸菌のフルフラール耐性を向上
2. 細菌におけるCRISPR遺伝子編集は, 直感に反して、DNAターゲッティングを体系的に減弱させることで実現される
[出典] "Systematically attenuating DNA targeting enables CRISPR-driven editing in bacteria" Collias D [..] Beisel CL. Nat Commun. 2023-02-08. https://doi.org/10.1038/s41467-023-36283-9 [著者所属] Helmholtz Institute for RNA-based Infection Research (HIRI), Helmholtz Centre for Infection Research (HZI), German Center for Infection Research (DZIF), U Würzburg, North Carolina State U.
細菌ゲノム編集は、編集されていない細胞に対する対抗選択として、Casヌクレアーゼによる染色体切断・細胞死に一般的に依存している。しかし、編集には通常、効率的な組換えと高い形質転換効率が必要であるが、ほとんどの菌株ではこれらは実現できない。独米の研究チームは今回、DNA標的活性を系統的に減弱させることで、様々な細菌においてRecAを介した修復が可能になり、染色体切断によるゲノム編集が可能になることを示す。
減弱化は、ガイドRNA(gRNA)のフォーマットや発現強度の変更、切断活性を低下させたヌクレアーゼの使用、あるいは破壊的なヘアピン、ヌクレアーゼ結合スキャフォールドの改変、非標準的なPAM、またはガイドミスマッチを有する減弱gRNA(attenuated gRNAs: atgRNA)の設計によって達成できる [Fig. 2引用右図 a とb 参照]。これらの改変により、Escherichia coli および Klebsiella oxytoca におけるCas9およびCas12aに対する様々なタイプの編集の効率が大幅に向上する。さらに、atgRNAを用いて肺炎桿菌のアンピシリン感受性を回復させ、遺伝学的研究のための耐性マーカーを確立した。3. crisp_bio 2022-02-15 適応的実験室進化にCRISPR技術を介した追跡可能なゲノム工学を統合することで,大腸菌のフルフラール耐性を向上
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