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 中国の研究チームが今回、高い編集効率、低頻度なインデルとオフターゲット編集、ひいては、最大99.8%のC-T編集という高い編集産物の純度を誇るQBEmaxを作出した。分子動力学モデリングにより、QBEmaxは、保護された塩基を、望ましくない修復プロセスから保護することで、コンパクトで安定した塩基エディターたりうたことが、明らかにされた。また、QBEmaxを利用して、多重ノックアウト( PD-1, CISH, Fas, TGFBR2 および TRAC)を施したCAR-T細胞を樹立した。

[詳細]

 CBE(シトシン塩基エディター)は、疾患を引き起こす遺伝子変異の修正に加えて、マルチプレックス遺伝子ノックアウトへの応用にも有望視されている。CBEによって、アルギニン、グルタミン、またはトリプトファンのコドンを正確に編集して、未熟終止コドンへと変化できるからである。

 CBEはDNA二本鎖切断 (DSB) を経ないことからCasヌクレアーゼによる編集に対して、ゲノム転座、細胞毒性、染色体破砕(クロモスリプシス/chromothripsis)のリスクが最小限に抑制される。しかし、CBEにおいても、意図しないインデルや不純な塩基編集副産物(本来のC-to-Tではなく、C-to-G、C-to-Aの塩基変換)が依然として頻繁に観察されている。

 標準的な塩基エディターは、端から端まで様々なタンパク質を融合させることで構成されていることから、各タンパク質の向きが、一連のプロセス(脱アミノ化酵素による非標的鎖の結合/解離、標的塩基の脱アミノ化、塩基の保護/露出、そして最終的には内因性の細胞 DNA 修復酵素などの触媒プロセス)がバランス良く最適化されていると限らない。

 これまでのエンジニアリングでは、デアミナーゼの塩基エディター内部への組み込み(inlaid deaminase domain/インレイド・デアミナーゼ)または循環置換(circular permutation)Casタンパク質のいずれかの使用が、塩基編集因子のオンターゲットまたはオフターゲット編集効率、生成物の純度、または編集ウィンドウに影響を与える可能性があることが示されてきた [*1, 2, 3, 4, 5]。しかし、これらのパラメータの組み合わせについては、いずれのアプローチおいても最適化されていない。

 中国の研究チームは、より理想的な塩基編集因子を得るために、デアミナーゼとCas9タンパク質を、異なるドメインからなる1つの複合体として扱うことを発想した。すなわち、循環置換タンパク質とインレイド・デアミナーゼの概念を組み合わせて、デアミナーゼとCas9の両方のドメインの配向をシャッフルすることで、遺伝子ノックアウトにおけるCBEの使用による利点を最大限に引き出すCBEを特定するアプローチを実行した。

 まず、これまでの循環置換や小さなペプチドの埋め込みに適していることがわかっている Cas9 の位置 [*6, 7] に基づいて、循環置換された Cas9(D10A) タンパク質 [*6] [Figure 1 a 参照]内に脱アミノ酵素を内部に埋め込んだ 4種類の塩基エディターを設計した。

 これらのアーキテクチャは、Cas9 タンパク質からドメインを環状化し、内部に脱アミノ酵素を挿入して新しい開始コドン (文字「Q」に似た内部カットを持つ円) を生成する再構成プロセスを反映して、Q 塩基エディター (QBE1 ~ QBE4) と命名された。異なる QBE アーキテクチャの特性を評価するために、6 つの異なるシチジン脱アミノ酵素 (rAPOBEC1 [*8]、hA3A、mini-Sdd3、mini-Sdd6、Sdd7、および mini-Sdd9 [*9] を評価し、mini-Sdd9-based QBEが、総合的に最も優れていることを、見出した。

[*]
  1. 2019-05-22 Cas9改変によりCBEmax/ABEmaxの標的可能領域拡大 (それぞれClinVar病原性SNPsの~30%から~50%へ) ;Circularly permuted and PAM-modified Cas9 variants broaden the targeting scope of base editors.
  2. 2022-07-26 デアミナーゼをSaCas9のN末端ではなく内部に組み込むことで,塩基エディター効率の向上と編集ウインドウ幅の拡張を実現;Internally inlaid SaCas9 base editors enable window specific base editing.
  3. 2021-04-21 構造情報をベースにABEを改変することで,鎌状赤血球症の病因点変異の直接修正を実現 ;Rationally designed base editors for precise editing of the sickle cell disease mutation.
  4. 2020-10-01 microABE: SaCas9をベースとしオールインワンAAVにて送達可能かつRNAオフターゲット編集活性がミニマムなABE;Engineering domain-inlaid SaCas9 adenine base editors with reduced RNA off-targets and increased on-target DNA editing
  5. CRISPRメモ_2019/09/26 - 2 [第9項] BE-PIGS: a base-editing tool with deaminases inlaid into Cas9 PI domain significantly expanded the editing scope
  6. CRISPR関連文献メモ_2016/05/09 [第1項] Cas9のドメイン挿入ホットスポットを探索し、アロステリック活性調節可能なCas9を創出;Profiling of engineering hotspots identifies an allosteric CRISPR-Cas9 switch.
  7. 2019-01-11 タンパク質工学によるCas9のブラッシュアップ - プロテアーゼによる活性化;CRISPR–Cas9 circular permutants as programmable scaffolds for genome modification.
  8. CRISPR関連文献メモ_2016/04/21 [第2項] DNA二本鎖切断を介さずに、ゲノムDNA中の1塩基を編集;Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage.
  9. 2023-06-29 AlphaFold2による予測構造のデータマイニングから独特な機能を備えた新奇デアミナーゼを発見;Discovery of deaminase functions by structure-based protein clustering.
[出典] "QBEmax is a sequence-permuted and internally protected base editor" Hu J [..] Zhao KT. Nat Biotechnol. 2025-04-21. https://doi.org/10.1038/s41587-025-02641-9 [著者所属] Qi Biodesign, Institute of Genetics and Developmental Biology CAS (Center for Genome Editing)Fig. 1: Design and characterization of QBEmax 参照
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