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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 微生物のCRISPR-Cas免疫を回避するため、ウイルス(バクテリオファージ)はCasタンパク質の発現または活性を阻害する抗CRISPR因子を発現する。

 これまで報告されている抗CRISPRのほとんどはタンパク質(anti-CRISPRタンパク質: Acr)である。また、Casヌクレアーゼは配列が多様であるため、特定のAcrによる阻害スペクトルは通常、単一のCRISPRタイプに限定されいる。

 その中で最近、RNA抗CRISPR(rAcr)と呼ばれる小さなRNA*が、CRISPR RNA(crRNA)と配列相同性を持ち、それらを同族のCRISPR-Casヌクレアーゼ・システムから置換することが、報告された。

 シアトルのワシントン州立大学と深圳の南方科技大学の研究チームは今回、自然宿主であるListeria seeligeri においてrAcrVIA1を発見した。このrAcrは、プラスミドにコードされており、RNAを標的とすることでCRISPR-Cas13システムを阻害する。研究チームはCas13-rAcr複合体のクライオ電子顕微鏡構造 **を解明し、rAcrVIA1はcrRNAと配列類似性がほとんどないにもかかわらず、ほぼ同一のフォールド構造をとることを明らかにした。
[**] スクリーンショット 2025-04-25 8.58.17EMD-60476 / PDB 8ZTY Cryo-EM structure of the Cas13a-rAcrVIA1 complex (2.85 Å) [右図参照]

 これまでにタイプI-C、I-E、I-F、およびV-A CRISPRシステムに抗するrAcrsがインシリコ解析により見出されているが、これらはいずれも、その配列が各システムのcrRNAに極めて類似していた。本研究により、rAcrCasヌクレアーゼやAcrと同様に極めて多様であり、配列類似度が低くても、crRNA の構造を模倣することによる免疫拮抗作用の例が存在することが、明らかにされた。

[出典] "RNA-mediated CRISPR-Cas13 inhibition through crRNA structural mimicry" Hayes VM, Zhang J-T [..] Jia N, Meek AJ. Science. 2025-04-24. https://doi.org/10.1126/science.adr3656 [著者所属] UW Seattle (Microbiology), Southern U
 Science and Technology (Biochemistry, Cell Microenvironment and Disease Research)
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