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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2026-02-21 Molecula Therapy Oncology 誌のEDITORIALでハイライトされた:ミネソタ大学を主とする米国の研究チームが、自家腫瘍浸潤リンパ球におけるCISHのCRISPR-Cas9ノックアウトを用いたヒト初臨床試験において、難治性転移性大腸癌患者において完全かつ持続的な奏効が達成されたことを報告している。研究チームは、時間生物学と高頻度ctDNAモニタリングが、将来のCRISPR改変細胞療法試験の最適化に役立ち、奏効例と非奏効例をより迅速に区別するのに役立つ可能性があると主張している。
[注] ブログ記事タイトルを「新規な細胞内免疫チェックポイントであるCISHを標的とするCRISPR-Cas9編集T細胞を介した転移性大腸がん療法:ヒト初回投与シングルセンター第1相試験」から「[20260221更新] 新たな細胞内免疫チェックポイント'CISH'を標的とするCRISPR-Cas9編集T細胞を介した転移性大腸がん療法により, 寛解状態2年継続」へと改訂
[出典] EDITORIAL "Investigational CRISPR-Cas9-edited T cells for metastatic colorectal cancer treatment: Clinical insights for future development" Lou E, Foo J, Leder K. Mol Ther Oncol. 2026-02-17/03-19. https://doi.org/10.1016/j.omton.2026.201139 [所属] University of Minnesota

2025-08-01
 編集産物をPCR増幅法とそれに続くサンガー法または次世代シークエンシング法によって解析されていたが、それでは、CRISPR-Cas9ゲノム編集に伴う大規模なオンターゲットでのゲノム改変の検証には不十分であるという主旨の第三者の研究チームからの指摘 [#1,2]と、それに対する回答 [#3]がLancet Oncology 誌から公開された:
[#]
  1. "CRISPR-engineered T-cell therapies: some clarifications needed - Authors' reply" Webber BR, Moriarity BS, Starr TK, McKenna DH Jr, Lou E. Lancet Oncol. 2025-08. https://doi.org/10.1016/S1470-2045(25)00377-8
  2. "CRISPR-engineered T-cell therapies: some clarifications needed" Palaz F, Duarte S, Zarrinpar A. Lancet Oncol. 2025-08. https://doi.org/10.1016/S1470-2045(25)00362-6
  3. "CRISPR-engineered T-cell therapies: some clarifications needed" Huang J, Chen H, Lu J, Zhuang Z, Chi H. Lancet Oncol. 2025-08 https://doi.org/10.1016/S1470-2045(25)00381-X
[回答]
 CRISPR-Cas9編集後に、初代末梢血 T 細胞および幹細胞の一部で観察された意図しない染色体変化を報告した引用研究に感謝します。

 腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) は、そのライフヒストリーが染色体異常誘発性化学療法および/または放射線で以前に治療された腫瘍内に存在していた点で独特であることが重要なポイントです。

 初期のプロセス検証実行のサブセットでは、染色体のセントロメアと末端動原体染色体の短腕に優先的に位置する細胞遺伝学的異常、および欠失と二動原体染色体が確認されました。これらの異常は、コントロールとCRISPR 改変アームの両方で確認され、また、観察された破壊と再配置の集合は、高線量放射線および/または化学療法を受けた個人のリンパ球に典型的な事象でした。このような損傷は数十年にわたって持続する可能性があることはよく知られており、事故または治療目的で放射線に曝露された個人の細胞遺伝学的状態のモニタリングによって観察されています。

 最も重要なのは、構造異常のいずれもクローンの定義(同じ構造異常を持つ2つ以上の細胞)を満たしておらず、血液悪性腫瘍に関連する既知の再発性異常のいずれにも該当しなかったことです。

 米国食品医薬品局(FDA)の要請に応えて、治験薬申請中に、GUIDE-seqを用いたCRISPR編集のゲノムワイドでバイアスのないオフターゲット解析を実施しましたがCISH試薬では測定可能なオフターゲット編集は確認されませんでした。

2025-07-15 ミネソタ大学のニュースリリースへのリンクを追記:News Release "New gene-editing therapy shows early success in fighting advanced GI cancers" University of Minnesota 2025-05-02. https://twin-cities.umn.edu/news-events/new-gene-editing-therapy-shows-early-success-fighting-advanced-gi-cancers
  • CRISPR/Cas9遺伝子編集を用いてCISH遺伝子を不活性化した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与した。
  • 転移性の高い大腸がんの末期患者12名を対象に試験し、複数の患者でがんの増殖が停止し、1名は転移性腫瘍が数ヶ月で消失し、再発しない期間が2年を超えた。
  • 今後、生産の効率化と、完全奏効の機構解明を目指す。
2025-05-03 初稿
[注] ヒト初回投与 (first-in-human);CISH (Cytokine-inducible SH2-containing protein / サイトカイン誘導性SH2含有蛋白質) 

 過去10年間、主にPD-1-PD-L1免疫チェックポイントを標的とした免疫療法は、多くの固形がんの治療を変えてきたが、消化器がん患者でその恩恵を受けている症例は今のところほどんとない。ミネソタ大学を主とする研究チームは今回、転移性消化器上皮がん患者において、CRISPR-Cas9を用いて遺伝子編集された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いて、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質をコードするCISH をノックアウトする療法の安全性と抗腫瘍活性を明らかにする第1相試験を完了し、その安全性と潜在的な抗腫瘍活性を支持する結果を得たと報告した。

 この第1相試験の対象は、少なくとも1つの標準的一次治療後に進行性転移性消化管上皮癌と診断された18〜70歳の患者から選抜された22名であった。試験では、腫瘍生検から採取したTILを、新抗原反応性に基づいて増殖させ、CRISPR-Cas9を介したCISH ノックアウトを実施し、骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法と高用量IL-2を投与した後、12名の患者に静脈内投与された。追跡期間の中央値は129日であった。
  • 12名全員(100%)に治療関連の重篤な有害事象が発現した。グレード3~4の有害事象として最も多く認められたのは、前処置としてのリンパ球除去化学療法レジメンまたはIL-2に起因する血液学的事象(12例 [100%])、倦怠感(4例 [33%])、食欲不振(3例 [25%])などであった。
  • 全死因死亡は、基礎疾患(転移性消化管がん)および関連合併症(10例)または感染症(1例でグレード5の敗血症)に起因するものであった。
  • 重篤な(グレード3以上)サイトカイン放出または神経毒性事象は認められなかった。
  • 12例中6例(50%)は28日目までに病状安定を示し、4例(33%)は56日目に病状安定が継続していた。抗PD1/CTLA-4療法が奏功しなかったマイクロサテライト不安定性が高い大腸癌の若年成人患者1例は、完全奏効が持続(21か月超)した。
[臨床試験] NCT04426669: A Study of Metastatic Gastrointestinal Cancers Treated With Tumor Infiltrating Lymphocytes in Which the Gene Encoding the Intracellular Immune Checkpoint CISH Is Inhibited Using CRISPR Genetic Engineering (Intima Bioscience, Inc.). 

[出典] "Targeting the intracellular immune checkpoint CISH with CRISPR-Cas9-edited T cells in patients with metastatic colorectal cancer: a first-in-human, single-centre, phase 1 trial" Lou E [..] Webber BR, Moriarity BS. Lancet Oncol. 2025-04-29. https://doi.org/10.1016/S1470-2045(25)00083-X [著者所属] U Minnesota, Minnesota Medical School, Mayo Clinic, 
Intima Bioscience, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, U Kansas Medical Center, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, iRepertoire
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