crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2025-07-03 Pusan National Universityのニュース記事へのリンクを追記:NEWS "Web-based tool improves CRISPR accuracy by identifying off-target effects across genetic variations" Pusan National U. 2025-07-01. 
  • オフターゲットを予測する既存のツールのほとんどは標準的な参照ゲノムに依存しており、個体や対立遺伝子間で異なるSNP、挿入、欠失などの重要な変異は考慮されていなかった。
  • 今回開発されたバリアントを考慮したCas-OFFinderツールは、ヒトゲノムとピーマンの栽培品種を用いてテストされ、ヒトでは、標準参照ゲノムには存在しない10番染色体上のオフターゲット部位の発見に、ピーマンでは、植物育種に有用な対立遺伝子特異的なオフターゲットの特定に、つながった。
2025-05-15 初稿
 RNAに誘導されるCRISPRシステムに基づくゲノム編集は、生物医学および農業分野の幅広い分野で広く利用されているが、オフターゲット効果が依然として課題である。

 RNA誘導ゲノム編集におけるオフターゲット効果は、一塩基多型(SNP)や挿入・欠失(インデル)などの遺伝的変異によって個人間で異なることが知られている。これらの変異はgRNAの結合効率を変化させ、新たなオフターゲット効果をもたらしたり、標的部位での切断効率を低下させたりする可能性が考えられる。したがって、個別化されたオフターゲット部位の予測および検証戦略を開発することが極めて重要になるが、これまでのツールは性能や拡張性に限界がある。

 CRISPRitz、VARSCOT、SNP-CRISPR、AlPaCas、CRISPRmeといった計算ツール [*1-5] が、遺伝子変異を考慮して潜在的なオフターゲット部位を特定するように設計されてきた。しかし、CRISPRitzとVARSCOTはハプロタイプレベルのオフターゲット同定を行うことができず、Webインターフェースを備えていない。CRISPRmeツールはヒトゲノムに限定されている。同様に、SNP-CRISPRは限られた種のみをサポートしており、NGGおよびNAGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)型に限定されている。

 韓国の研究チームが今回、個々のアレルと遺伝的変異を考慮して潜在的なオフターゲット部位を特定するために、Cas-OFFinder [Bioinformatics, 2014] をベースにして新しいパイプラインVariant-aware Cas-OFFinder  Fig. 1「Variant-aware Cas-OFFinder」を開発し [アルゴリズムについてFigure 1引用右図参照]、 研究チームは、ヒトゲノムとピーマンの品種を用いて、ハプロタイプレベルで各アレルに固有の潜在的なオフターゲット部位を持つこのパイプラインの拡張性と性能をベンチマークした。

 Variant-aware Cas-OFFinderはhttps://rgetoolkit.com/var-cas-offinder にて利用可能になっている。またソースコードならびにベンチマークのコードとデータも公開されている。

[*] 引用crisp_bio記事と論文
  1. CRISPRitz:CRISPRメモ_2019/11/30 [第5項] CRISPRitz: CRISPRシステムのオフターゲット部位をgRNA配列に対するindelsや変異も考慮しつつ高速に予測するソフトウエアパッケージ 
  2. VARSCOT:2019-06-27 "VARSCOT: variant-aware detection and scoring enables sensitive and personalized off-target detection for CRISPR–Cas9" Wilson LOW, Hetzel S [..] Bauer DC. BMC Biotechnol. 2019-06-27. .
  3. SNP-CRISPR:crisp_bio 2020-10-30 SNP CRISPR: SNPsに特異的なゲノム編集に向けたsgRNAs設計
  4. AlPaCas:crisp_bio 2024-06-02AlPaCas:プロトスペーサー隣接モチーフ (PAM) アプローチによる対立遺伝子特異的CRISPR遺伝子編集
  5. CRISPRme:crisp_bio 2023-01-06 ヒトの遺伝的多様性が、治療用遺伝子編集において、オフターゲット編集結果に影響する
[出典] "Variant-aware Cas-OFFinder: web-based in silico variant-aware potential off-target site identification for genome editing applications" Mekonnen AM, Seong K, Kim H, Park J. Nucleic Acids Res. 2025-05-08. https://doi.org/10.1093/nar/gkaf389 [著者所属] Pusan National U, Korea Advanced Institute of Science and Technology, Kangwon National U
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット