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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 CRISPR-Casベースのゲノム編集は過去10年間で大きな進歩を遂げたが、初代培養細胞における複数標的の同時ホモ接合体遺伝子編集は依然として大きな課題である。中国の研究チームが今回、初代培養ブタ胎児線維芽細胞(primary porcine fetal fibroblasts: PFF)ゲノムにおけるホモ接合体遺伝子編集率を高めるための"coselection(共選択)" 戦略を最適化した。

 この戦略では、サロゲートレポーター(eGFP)の発現を利用して、レポーター発現が最も高い細胞を選択することで、編集効率を向上させる。同時・多重・遺伝子編集では、最も困難な部位を選択し、他の標的部位での選択を不要とした。

 このアプローチを用いて、GGTA1CMAHB4GALNT2CD46CD47THBDGHR を含む7つ以上のホモ接合体編集遺伝子を持つ単一細胞PFFクローン(10個中3個)を取得することに成功した。

 重要なのは、この戦略を使用して編集された細胞は、体細胞核移植 (SCNT) に効率的に使用することが可能であり、5 か月未満で健康な異種移植ブタを生成できたことである。この新戦略によって、これまでの何年もの繁殖や複数回の SCNTが不要になった。

[出典] "Homozygous editing of multiple genes for accelerated generation of xenotransplantation pigs" Duan X, Chen C, Du C, Guo L [..] Wu S. Genome Res 2025-05-02. https://doi.org/10.1101/gr.279709.124 [著者所属] Sanya Institute of China Agricultural U, China Agricultural U,  Lanzhou U, Lanzhou Veterinary Research Institute CAAS,  Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College.
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