crisp_bio

論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

A tRNA-gRNA array 2- tRNA-gRNAアレイベースのCRISPRシステム [Fig. 2引用右図 B 参照] を利用

 セロビオースはセロビオースホスホリラーゼの触媒作用でグルコース-1-リン酸を生成し、これがさらにデンプンに合成される。このプロセスはグルコースからデンプンを合成するよりもエネルギー効率が高い。糸状菌トリコデルマ・リーゼイは、セルロースをセロビオースに分解するセルラーゼを大量に分泌し、最終生成物としてグルコースを放出し続ける能力がある。

 山東大学の研究チームは今回、転写活性化因子Xyrl<A824V>を連続的に活性化し、ku70 遺伝子を欠失させることで相同組み換え効率を高めたT. reesei PXK1株をベースに、マーカーフリーでリサイクル可能な高効率マルチ遺伝子編集システムを開発した。
  • CRISPR-Cas9フレームワーク、AMA1ベースのプラスミド、および固有のtRNAプロセシング機構を含むこの遺伝子編集システムは、1A tRNA-gRNA array GA重、2重、3重の遺伝子の編集でそれぞれ最大100%、82%、67%の効率を示す [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。 
  • β-グルコシダーゼ(BG)遺伝子を1つだけ欠失させた株を11株取得し、さらに2つおよび3つのβ-グルコシダーゼを欠失させた株も複数取得した。
  • その上で、BG欠失がセロビオース生産に及ぼす影響を評価した。
 Δcel3a株はPXK1株と比較してセロビオース収量が128%増加し、2つのBG遺伝子を累積的に欠失させた株はΔcel3a株よりも12%多くセロビオースを効率的に生産する。

[関連crisp_bio記事]
[出典] "A tRNA-gRNA array-based CRISPR system for efficient and precise marker-free multiple gene editing of Trichoderma reesei to enhance cellobiose production" Dong H, Su B, Chen Z, Song X. Ind Crops Prod. 2025-05-09. https://doi.org/10.1016/j.indcrop.2025.121169 [著者所属] Shandong U
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット