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 光合成シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803は、CO2固定と化合物のバイオプロダクションを同時に実現する有望な持続可能なソリューションを提供する。事実、シネコシスティスを利用して異種産物が合成されている。しかし、適用可能な遺伝子ツールが限られていたことから、生産の効率化にも限界があった。ウプサラ大学の研究チームは今回、シネコシスティスを対象とする汎用性の高い遺伝子活性化システム(CRISPRa)を開発した 。

 シネコシスティスこのシステムは、dCas12a-SoxSタンパク質融合体 [Fig. 1引用右図参照]を用いて、特定のプロモーターにおいてRNAポリメラーゼをリクルートする。本システムは、様々な標的において信頼性の高い遺伝子活性化を示し、その活性化効率は、転写開始点(TSS)に対するガイドRNA(gRNA)の位置と標的プロモーターの固有強度に依存する。

 実証実験では、バイオ燃料候補物質であるイソブタノール(IB)および3-メチル-1-ブタノール(3M1B)の生合成に関与する主要遺伝子の上方制御を試みた。その結果、IBおよび3M1Bの力価上昇をもたらす特定の遺伝子を同定することに成功した。さらに、pyk1 などの標的遺伝子の個別発現誘導によって、IB/3M1B生成が最大4倍まで増大させられること、加えて、多重な関連遺伝子を標的とする相乗効果によって化合物生産がさらに促進されたことが、見出された。また、興味深いことに、活性化効率は化合物生成の増加を一貫して予測するものではなく、バイオプロダクションに影響を与える複雑な調節相互作用の存在が示唆された。

[出典] "Development of a CRISPR activation system for targeted gene upregulation in Synechocystis sp. PCC 6803" Bourgade B, Xie H, Lindblad P [..] Stensjö K. Commun Biol. 2025-05-21. https://doi.org/10.1038/s42003-025-08164-y [著者所属] Uppsala U (Microbial Chemistry)
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