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 分化過程における幹細胞クローンの追跡に用いられる現在の手法は、遺伝子工学を必要とするか、または希薄な体細胞DNA 変異に依存しており、その適用範囲が限られている。スペインに独・米・英が加わった研究チームは今回、CpG 部位のサブセットにおける DNA メチル化が細胞分化を反映する一方、別のサブセットが確率的なエピミューテーションを起こし、クローンのアイデンティティを示すデジタル・バーコードとして機能することを発見した。

 EPI-Clone は、Mission Bio Tapestri プラットフォーム上に実装されているメチロームの単一細胞標的解析 (scTAM-seq) [Genome Biol., 2020] を基盤としており、一度に数千の単一細胞にある数百の CpG のメチル化状態を、約 7% のドロップアウト率で読み取れる。scTAM-seq は、メチル化に敏感な制限酵素を使用してメチル化されていない CpG を選択的に消化し、メチル化された CpG からのみシーケンスリードを生成する。

 研究チームはバーコード化細胞とネイティブのヒトおよびマウスの造血に EPI-Clone を適用し、マウスとヒトの老化におけるクローンの複雑性の低下と加齢とともに拡大したクローンの機能特性を特徴付けた。
  • マウスおよびヒトの造血において、数十個体、230,358 個の単一細胞にわたる数百のクローン分化軌跡を捉えた。
  • マウスの老化においては、骨髄球系細胞への分化がリンパ球系細胞への分化よりも優位となるmyeloid-biasおよび老化した造血幹細胞の低出力は、少数の増殖したクローンに限定され、機能的に若々しいクローンの多くは老齢期においても持続することが実証された。
  • ヒトの老化においては、クローン造血細胞の既知のドライバー変異の有無にかかわらず、クローンは、同様の細胞系譜の偏りを示す加齢に伴うクローン増大のスペクトルの一部である。
 EPI-Cloneは、造血細胞の状態ランドスケープにおいて、遺伝子導入フリーで正確かつ大規模な単一細胞系譜の追跡を可能にする。

[出典] "Clonal tracing with somatic epimutations reveals dynamics of blood ageing" Scherer M, Singh I, Braun MM, Szu-Tu C, [..] Rodriguez-Fraticelli A, Velten L. Nature 2025-05-21. https://doi.org/10.1038/s41586-025-09041-8 [著者所属] Barcelona Institute of Science and Technology (Computational Biology and Health Genomics, Institute for Research in Biomedicine), U de Barcelona, U Pompeu Fabra, Institut d’Investigacions Biomèdiques August Pi i Sunyer, Institució Catalana de Recerca i Estudis Avançats (ICREA), U Hospital Heidelberg, EMBL (Genome Biology Unit), Berlin Institute of Health at Charité–Universitätsmedizin Berlin, German Cancer Research Center, German Centre for Cardiovascular Research,  Berlin Institute for Medical Systems Biology, Freie Ut Berlin, Technische U Berlin, MRC Weatherall Institute of Molecular Medicine, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, Parker Institute for Cancer Immunotherapy, Stanford Genome Technology Center;参考図 Fig. 1: DNA methylation jointly encodes cellular differentiation and clonal identity. https://www.nature.com/articles/s41586-025-09041-8/figures/1
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