CRISPR-Casシステムによる診断法は、その高い感度と特異性で知られているが、単一標的ではなく、複数の標的を多重検出することが、信頼性と決定的な疾患診断に不可欠である。しかし、CRISPR/Casシステムの多重化には、非特異的な無秩序なトランス切断によって特定の標的からのシグナルを区別できないという問題が長らく内在していた。この問題を解決すべく、CRISPR/Casを活用した多重バイオセンシング戦略に多大な努力が払われ、その結果、過去5年間で急速な発展が遂げられた。
中国の研究チームによるこのレビューは、Cas9、Cas12、およびCas13を網羅する多重化CRISPR Dxの最近の進歩が体系的にまとめてられている。主な焦点となるのは、多重バイオセンシング戦略とその利点と限界、センシング・メカニズム、そして検証済みの新規サンプルの検出性能である。
さらに、CRISPR/Cas多重化バイオセンシングの現状と課題を批判的に考察し、その実用化に向けた将来展望を提示し、次世代のCRISPR/Casマルチプレックスバイオセンシングの開発を促進することを目指している。
[出典] REVIEW "CRISPR/Cas Multiplexed Biosensing: Advances, Challenges, and Perspectives” Wei L, Wnag Z, She Y, Fu H. Anal Chem 2025-05-27. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.4c04428 [著者所属] South-Central Minzu U, Shanghai Institute of Nutrition and Health CAS, Zhejiang U Technology
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