中国の3大学と米国メリーランド大学の研究チームが今回、植物向けに、Cas12i1 (1093 aa)、Cas12i2 (1054 aa)、およびその変異体Cas12i2Max(1054 aa: 旧名Cas12iMax) に基づいて、コンパクトなゲノム編集ツールを開発した。
[詳細]
多様なCRISPR-Casシステムの中で、タイプII CRISPR-Cas9とタイプV-A CRISPR-Cas12aが広く利用されてきたが、他のシステムも様々なゲノム工学のツールとして大きな可能性を秘めている。そのようなシステムの 1 つが、タイプ V-I Cas システムに分類されているCRISPR-Cas12i サブファミリーである。このシステムは、Cas9 (~ 1,400 aa) や Cas12a (~ 1,300 aa) と比較してタンパク質サイズが小さい (~ 1,000 aa) ことが特徴である
哺乳類細胞においては、Cas12iサブファミリーのヌクレアーゼ(Cas12i1, Cas12i2, Cas12i3, Cas12i12)と、そのバリアント(ABR-001 (Cas12i2由来), Cas12iMax (Cas12i2由来), hfCas12Max (Cas12i12由来), hfCas12Max** (Cas12i12由来)) が、程度の差はあるが編集活性を示すことが、報告されてきた。しかし、植物細胞においてはわずかに、hfCas12Max**を介したミニマルな編集活性が報告されるに留まっていた [*]。
研究チームは、植物における効率的な CRISPR-Cas12i ゲノム編集システムを開発するためにデュアル Pol II プロモーター発現システムを採用した。このシステムは、これまで CRISPR-Cas9、CRISPR-Cas12a、CRISPR-Cas12b、CRISPR-Cas12j2、および TnpB による編集において利用されてきた。
イネ(Oryza sativa)プロトプラストを用いた初期実験では、Cas12i1は28 bpプロトスペーサーを有する4つの試験部位すべてにおいて編集活性を示したが、Cas12i2およびCas12i2Maxはより高い活性を示した。
植物におけるCas12i2とCas12i2MaxのPAM要件をさらに評価するために、イネゲノム中のNTTN PAMを持つ16の内因性部位を選択した。イネプロトプラストにおいて、Cas12i2は16の標的部位のうち13を最大28.5%の効率で編集したのに対し、Cas12i2Maxは16部位すべてを最大20.9%の効率で編集した。これらの16部位においてCas12i2と比較して、Cas12i2Maxは7つの部位でより高い編集活性、7つの部位で同等の編集活性、2つの部位でより低い編集活性を示した。
これらの知見は、Cas12i2MaxシステムにNTTN PAMが必要であることを裏付け、また、イネ・プロトプラストにおいてCas12i2ヌクレアーゼよりもCas12i2Maxの方が堅牢なヌクレアーゼバリアントであることを示している。
CRISPR-Cas12iヌクレアーゼとそのバリアントには、植物における同時ゲノム編集と転写制御のための多用途CRISPRツールの展開をもたらすことが、期待される。
[出典] "CRISPR-Cas12i confers efficient genome editing and gene regulation in plants" He Y [..] Qi Y, Zhang Y. Plant Physiol. 2025-04-30. https://doi.org/10.1093/plphys/kiaf125 [著者所属] Southwest U (China), U Electronic Science and Technology of China, Shanxi U, U Maryland
[参考crisp_bio記事]
- [*] 2024-06-04 hfCas12Maxの遺伝子編集効率のさらなる向上を, 構造情報に基づいた構造改変により実現.
- 2022-06-09 多重変異導入によりCRISPR-Casヌクレアーゼによる哺乳類ゲノム編集のロバスト性と効率を向上.
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