- 台湾の大学と日本の農研機構の共同研究から
- 栽培アズキの祖先とされている野生種のヤブツルアズキは種皮が黒味を帯びているが、栽培アズキは遺伝子の突然変異で赤くなる。
これまで
- 野生個体群はヒマラヤ山脈付近に起源を持ち、中国中部および日本に自然拡散したとされていた。
- 核ゲノムの解析結果は、中国の栽培アズキの方が日本の栽培アズキよりも多様性が高いことから、大陸起源説を支持していた。一方で、母性遺伝する葉緑体ゲノムの解析結果は「中国の栽培アズキも日本のヤブツルアズキと同型で、中国のヤブツルアズキとは明確に異なる」ことを示していた。
今回
- アジア各地の栽培アズキとその祖先である野生種のヤブツルアズキ全693系統の全ゲノムの比較解析を行った。
- 「日本で3~5千年前(縄文時代)に中国からの野生ヤブツルアズキが栽培化され、その後、この栽培個体群が中国へ再拡大し、中国の野生ヤブツルアズキ個体群との交雑を経て、中国南部で混合栽培個体群が形成されたこと」が、示唆された。
なお
- 縄文人が狩猟採集のみならず、原始的な農業の知識や栽培能力を有していることの裏付けも得られた。
[出典]
- 論文 "A single domestication origin of adzuki bean in Japan and the evolution of domestication genes" Chien CC [..] Naito K, Lee CR. Science. 2025-05-29. https://doi.org/10.1126/science.ads2871 [著者所属] 國立臺灣大學, 長庚科技大學, Taipei Tzu Chi Hospital, 農研機構;グラフィカルアブストラクト
- 日本語解説 「アズキの栽培化が日本で始まったことをゲノム解析で明らかに」農研機構プレスリリース 2025-05-30;「アズキ栽培化が縄文時代の日本で始まったと明らかに 台湾大学と日本の研究グループ」フォーカス台湾. 2025-06-03.
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