GATA転写因子(TF)は、植物において生理学的プロセスの制御に関わる様々な役割を果たしている。トマトにおけるGATA TFの大部分の機能は、未解明のままであるが、SlGATA22 は、低温ストレス条件下で発現が上昇することが明らかになった。
中国の東北農業大學の研究チームは今回、CRISPR/Cas9遺伝子編集によりSlGATA22 変異体を作製し、SlGATA22 過剰発現トマト植物を用いてその機能を解明した。その結果、SlGATA22 変異体幼植物では節間長が短縮し、腋生分裂組織の分化が促進され、耐寒性が向上したのに対し、SlGATA22 過剰発現(OE)個体では節間長が長くなり、耐寒性が低下した。
トランスクリプトーム解析により、SlGATA22 CRISPR変異体植物では、環境ストレス応答に関連する経路において、発現レベルが異なる遺伝子(differentially expressed genes: DEGs)が顕著に増加していることが明らかになった。一方、SlGATA22 過剰発現植物では、主に基礎代謝プロセスに関与するDEGが発現していた。SlCBF1 およびSlCBF2 の発現パターンは、SlGATA22 の発現によって影響を受けた。
これらの結果は、SlGATA22 が寒冷ストレスに応答する負の調節因子であり、CBF経路に関与していることを示す。したがって、SlGATA22 は、非生物的ストレス耐性を強化する遺伝子改変の候補である。
[出典] "Transcription factor SlGATA22 negatively regulates cold stress resistance and modulates tomato seedling growth" Wu T, Zhao Z [..] Zhang H, Xu X, Zhao T. Plant Sci. 2025-05-31. https://doi.org/10.1016/j.plantsci.2025.112585 [著者所属] Northeast Agricultural U
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