CRISPR-Cas9システムは短期間で、基礎研究からバイオ医薬品そして農業に至るまで、その利用が一気に広がった。しかし、オフターゲット編集やオンターゲットでの想定外の編集などCas9の活性の精密な制御が不可能なことは、臨床現場において重大な安全性上の懸念を引き起こしている。
青島と南京を拠点とする中国の研究チームは今回、硫酸化グリコサミノグリカン(sulfated glycosaminoglycan: GAG)によってCas9を阻害することが可能なことを実証した。
具体的には、コンドロイチン硫酸とヘパリンはどちらもCRISPR/Cas9の活性を阻害することができ、ヘパリンはより強い阻害効果を示し、その濃度と阻害効果は正の相関を示した。分子動力学シミュレーションは、硫酸化ヘパリン残基が、機能的相互作用に不可欠な必須のDNA結合部位に結合してCas9の機能を阻害し、活性を低下させる可能性があることを示唆した。さらに、分子量の大きいGAGは、同じ硫酸化条件下でより強い阻害効果を示す。
注目すべきことに、硫酸化部位も活性に影響を与える。コンドロイチン硫酸のC6硫酸化はCas9阻害に有利であり、ヘパリンのN硫酸化はCas9活性に対する阻害効果を高める。
これらの知見は、CRISPR-Cas9に対する炭水化物ベースの阻害剤の可能性を示唆している。
[出典] "Structure-activity relationships study on inhibition of CRISPR-Cas9 by glycosaminoglycans" Cheng Y, Wang Z [..] Cheng C, Cai C, Zhang X, Zheng J. Carbohydr Polym. 2025-06-20. https://doi.org/10.1016/j.carbpol.2025.123912 [著者所属] Nanjing Normal U, Ocean U China, Nanjing Tech U; グラフィカルアブストラクト
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