Cas1とCas2は、原核生物のCRISPR-Cas適応免疫システムの代表的なタンパク質である。しかし、これら2つのタンパク質は他のタンパク質と融合していることが多く、その融合タンパク質の機能的関連性は十分に解明されていないことが多い。モンタナ州立大学とニューヨーク構造生物学センターの研究チームは今回、緑膿菌のタイプI-F CRISPR-CasシステムからCas1とCas2/3融合タンパク質を精製し、クライオ電顕を利用して、CRISPR-Casシステムの適応(adaptation)過程の各段階におけるCas1-2/3複合体の構造を決定した。
[注] Adaptation過程についてGraphical Abstract引用左下図参照;緑膿菌のタイプI-F CRISPR-Casシステムの構成について、Figure 1引用右下図 A 参照
[注] Adaptation過程についてGraphical Abstract引用左下図参照;緑膿菌のタイプI-F CRISPR-Casシステムの構成について、Figure 1引用右下図 A 参照
[構造情報]
- EMD-71091 / PDB 9P11 (Cas1-2/3)
- EMD-71097 / PDB 9P1D (Cas1-2/3 and foreign DNA)
- EMD-71112 (Integration complex with PAM – CRISPR-leader associated), EMD71101 (Integration complex with PAM – first transesterification)
- EMD-71114 (Integration complex without the PAM – CRISPR leader associated), EMD-71115 (Integration complex without the PAM – first transesterification)
- EMD-71116 (Integration complex without the PAM – full repeat)
[詳細]
細菌とアーケアに見られるCRISPR-Casシステムは、外来DNA断片をゲノム上のCRISPRアレイの最初のリピートに組み込む"adaptation(適応)"のステージを経て、宿主にウイルスおよびプラスミドに対する耐性をもたらす。モンタナ州立大学とニューヨーク構造生物学センターの研究チームは先行研究で [*] 、緑膿菌のタイプI-F CRISPR-Casシステムにおいて、Cas1-Cas2/3とその他の宿主因子を介して、宿主DNAの150塩基対をU字型の屈曲部とCas1-2/3から直角に突出するループに折り畳む仕組みを発見していた。研究チームは今回、クライオ電顕法を利用して、CRISPR適応の異なる段階におけるCas1-2/3複合体の複数の構造を解明することで、適応ステージにおけるDNAの変形が形成される構造基盤を明らかにした。
細菌とアーケアに見られるCRISPR-Casシステムは、外来DNA断片をゲノム上のCRISPRアレイの最初のリピートに組み込む"adaptation(適応)"のステージを経て、宿主にウイルスおよびプラスミドに対する耐性をもたらす。モンタナ州立大学とニューヨーク構造生物学センターの研究チームは先行研究で [*] 、緑膿菌のタイプI-F CRISPR-Casシステムにおいて、Cas1-Cas2/3とその他の宿主因子を介して、宿主DNAの150塩基対をU字型の屈曲部とCas1-2/3から直角に突出するループに折り畳む仕組みを発見していた。研究チームは今回、クライオ電顕法を利用して、CRISPR適応の異なる段階におけるCas1-2/3複合体の複数の構造を解明することで、適応ステージにおけるDNAの変形が形成される構造基盤を明らかにした。
- DNAが結合している状態では、Cas1-2/3は複合体の片面に、顕著な正電荷を帯びたチャネルが形成されている。一方で、DNAが結合していない構造では、Cas3 RecA1ドメインの短いループがヌクレアーゼ活性部位を、ラッチゲートのように覆っている。この"オフ状態"のCas3を、ヌクレアーゼが活性化している以前の"オン状態"と比較することで、ヌクレアーゼが活性化することでゲートが開くことが分かった。
- 次に、Cas1-2/3に短い外来DNA断片を付加して形成される複合体の構造を決定したところ、外来DNAの結合が劇的な構造変化を引き起こし、インテグラーゼをCRISPR遺伝子座にホーミングさせるために必要な新しいDNA結合面を露出させることがわかった。
- 次に、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の有無にかかわらず、短い外来DNA断片を付加し、PAMがCRISPRアレイへの組み込みを阻害する理由が明らかになった。外来DNAの長さが複合体の安定性を変化させ、2bpの追加が大きな違いを生みだす。
- 外来DNA由来のスペーサーをCRISPRアレイに完全に組み込みには、2回の連続したエステル交換反応が必要である。 CRISPRリピートに注目すると、CRISPRリピートは最初のエステル交換部位から 2 番目の部位に移動するときに、重要な保存されたプリン-ピリミジン段階で歪んでいることも分かった。
[*] 先行研究紹介crisp_bio記事
- 2023-09-25 CRISPR-Casシステムが外来DNAをCRISPRアレイに取り込む際に、何故、ゲノムが折り曲げらねばならぬのか? ;"Structure reveals why genome folding is necessary for site-specific integration of foreign DNA into CRISPR arrays" Santiago-Frangos A [..] Wiedenheft B. Nat Struct Mol Biol. 2023-09-14.
[出典] "Structures reveal how the Cas1-2/3 integrase captures, delivers, and integrates foreign DNA into CRISPR loci" Henriques WS [..] Wiedenheft B. bioRxiv 2025-06-11 (preprint). https://doi.org/10.1101/2025.06.10.658980 [著者所属] Montana State U, New York Structural Biology Center
[参考] ほぼ同時公開されたadaptaion関連bioRxiv投稿
[参考] ほぼ同時公開されたadaptaion関連bioRxiv投稿
- タイプ II-A: "Structural insights into Cas9-mediated prespacer selection in CRISPR-Cas adaptation" Gaizauskaite U [..] Siksnys V, Sasnauskas G. bioRxiv. 2025-06-12. https://doi.org/10.1101/2025.06.12.659244 [著者所属] Vilnius U.


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