腫瘍抑制因子p53(TP53)は癌において頻繁に変異し、その結果、腫瘍抑制機能が失われるだけでなく、ドミナントネガティブな形質や、さらには発がん性機能獲得形質を獲得することさえある。野生型p53のレベルは厳密に制御されているが、変異体は腫瘍内で安定化しており、これが腫瘍形成特性にとって重要である。
カナダのMount Sinai Hospitalとトロント大学に米国、イスラエル、ブラジル、およびアルゼンチンが加わった研究チームは今回、マーカーをベースとするゲノムワイドCRISPRスクリーニングを介して、野生型および変異型p53のタンパク質安定性を制御する因子を系統的にプロファイリングした。
- 野生型p53のほとんどの制御因子は、p53変異体も制御したが、p53 R337H制御因子は例外であった。
- FBXO42が、CCDC6と連携してUSP28を介した変異型p53の安定化を制御することで、p53変異体のサブセットに対する正の制御因子として現れた。
- C16orf72/HAPSTR1は、野生型p53と、試験した全ての変異型p53の双方を負に制御した。
- C16orf72/HAPSTR1は、乳がんにおいて一般的に増幅しており、その過剰発現はマウス乳腺上皮におけるp53レベルを低下させ、乳がんの進行を加速させている。
本研究は、p53の安定性制御に関するネットワーク的視点を提示し、がんにおいて野生型p53を強化するか、変異型p53を標的とするかの戦略を導く可能性を示唆している [グラフィカルアブストラクト参照]。
[出典] "Genome-wide CRISPR screens identify novel regulators of wild-type and mutant p53 stability" Lü Y [..] Durocher D, Schramek D. Mol Syst Biol. 2024-04-05/Jun. https://doi.org/10.1038/s44320-024-00032-x [著者所属] Mount Sinai Hospital (Canada), U Toronto, Hospital for Sick Children, Suffolk U (USA), Weizmann Institute of Science (Israel), Universidad Nacional de San Martín (アルゼンチン), Universidade Federal do Rio Grande do Sul and Serviço de Genetica Médica HCPA (ブラジル)
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