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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 英国を拠点とする研究者のチームが、初のヒトゲノム合成に向けた技術開発を進めている。大規模なゲノムを「書く(write)」能力は、トの健康に関する理解を根本から変え、ひいては、新たな細胞療法や気候耐性作物などの可能性を広げる。

[詳細] 

2003年にヒトゲノムを「読む」計画が完了して以来、研究者たちはゲノムを「書く」可能性を探ってきた。研究者たちは今や、それを可能にする技術の開発に取り組んでいる。

Wellcomeは、将来研究者がゲノムを合成できるようにするための基礎ツール、技術、手法を開発するため、新たな合成ヒトゲノム計画(Synthetic Human Genome Projecgt: SynHGに1,000万ポンド(~20億円)の資金を提供する。

完全な合成ヒトゲノムの構築には数十年かかると予想されている中で、 SynHGプロジェクトは今後5年間で、この研究を可能にする基盤ツールを構築する。

これは巨大な挑戦であるが、その潜在的なメリットは計り知れない。完全合成ヒトゲノム、そしてそれを生み出すための研究は、健康と疾患に関する私たちの理解を根本から変えるだろう。

そしていつの日か、デザイナー細胞療法やウイルス耐性組織移植といった革新的な治療法の実現につながるであろう。また、極端な気候条件に耐えられるよう植物種を改良するなど、生物多様性と食料安全保障の確保にも役立つ可能性がある。

ゲノム編集に対して、ゲノム合成はより大規模な改変を可能にし、DNAと人間の特性との因果関係を明らかにすることを可能にする。

Wellcomeの探索型研究(discovery research)ディレクターであるMichael Dunn氏は「私たちのDNAは、私たちが何者であるか、そして、私たちの体の仕組み、を決定づけています」「近年の技術進歩により、SynHGプロジェクトは科学研究における最も刺激的な分野の一つの最前線に立っています。」「ヒトゲノム合成に必要なツールと手法を開発することで、私たちはまだ予測すらできない健康と疾患に関する疑問に答え、ひいては生命と幸福に対する理解を変革するでしょう。」と述べている

ヒトゲノム合成には何が必要か?

SynHGチームは、今後5~10年で完全合成ヒト染色体の構築を目指している。これはそれ自体が野心的な目標であり、チームは多くの個別の科学的課題を克服する必要がある。ヒトゲノムの完全合成はさらに大きな課題となるろう。

この野心的な目標は、開発に何年もの歳月と多大な資源を費やしたヒトゲノム計画の第一段階に相当し、一旦コンセプトが実証されれば、技術は比較的急速に進歩する可能性がある。

このプロジェクトは、エリソン工科大学とオックスフォード大学の生成生物学(Generative Biology)ー研究所のJason Chin教授が主導し、ケンブリッジ大学、ケント大学、マンチェスター大学、オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者チームと共同で進められている。

Chin教授は、「ヒト細胞のゲノムを含む大規模ゲノム合成能力は、ゲノム生物学への理解を根本から変革し、バイオテクノロジーと医学の展望を大きく変える可能性があります」、「SynHGでは、大規模ゲノム合成を実現するためのツールを構築しています。同時に、ツールと技術の進歩に伴って生じる可能性のある社会的、倫理的、経済的、そして政策的な問題にも積極的に取り組んでいます。Wellcomeによるこれらのアプローチの組み合わせへの支援が、社会に実質的な利益をもたらすことを期待しています。」と述べている。

倫理と社会参加が合成ゲノミクスの中核

合成ゲノミクスは技術的にも倫理的にも複雑である。これらの新しいツールが社会に確実に利益をもたらすよう、SynHGプロジェクトは科学的開発と並行して社会科学プログラムを組み込んでいる。世界中の学術機関、市民社会、産業界、政策パートナーと協力し、倫理的、法的、そして社会的な影響を検討する。

「Care-ful Synthesis(ケアフル・シンセシス)」と名付けられたこの社会科学プログラムは、ケント大学グローバル科学・認識論的公正センター(Centre for Global Science and Epistemic Justice)のJoy Zhang教授が主導している。

Zhang教授は、「Care-ful Synthesisでは、ヨーロッパ、アジア太平洋、アフリカ、そして南北アメリカ大陸における実証研究を通じて、グローバル時代における責任ある科学的・革新的な実践のための新たなパラダイムを確立することを目指しています」、「それは、技術的可能性と多様な社会倫理的視点を注意深く統合することの潜在能力を最大限に探求するものです。」と述べている。

Care-ful Synthesisでは、特に以下の点について検討する:
  • 大規模ゲノム合成研究に関する世界中の様々な社会的優先事項と認識
  • 知識生産に多様な視点を取り入れる方法
  • 新たな知識を責任を持って公平に共有する方法
  • 必要に応じて、様々な地域やコミュニティに研究が効果的かつ敬意を持って適用されるようにするための政策要件
現在のゲノム研究は、ヨーロッパ系の人々を中心に偏っている。この科学がすべての人々に恩恵をもたらすためには、多様な集団のニーズと視点をゲノム研究に取り入れる必要がある。

技術の発展に伴い、チームは様々な分野、コミュニティ、地域の人々、そして規制当局や政策立案者と連携していく。そして、科学的可能性を社会の利益に変える方法を共に模索していく。

[出典] News "Researchers take first steps to creating synthetic human genomes" Wellcome. 2025-06-26. https://wellcome.org/news/researchers-take-first-steps-creating-synthetic-human-genomes
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