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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] 乳化 (emulsification)

 石油流出は、生態系に深刻な影響を与え、また、経済にも影響が及ぶことから、重大な事故である。石油流出の軽減には、乳化を介して石油を微生物に分解されやすくするアプローチが有効である。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa )の環境株は、炭化水素の乳化に関連する二次代謝産物であるラムノリピド(rhamnolipid: RML)とピオシアニン(pyocyanin: PYO)を産生する高い能力を示している。メキシコにデンマークが加わった研究チームは今回、メキシコ湾の石油汚染地域から環境株を単離し、その特性を評価した。

 CBE (Cas9n-APOBEC1-UGI) を用いて、rpoS 遺伝子の標的シトシンのチミンへの変換を誘導し、未成熟終止コドンを生成した。得られたバリアントは、PYOおよびRMLの産生量が増加し、無細胞培養上清中でのガソリン乳化能も向上したことから、重要な調節遺伝子の調節に成功したことが示された。得られたIGLPR01株は毒性に関連する特定の特性を保持しているものの、環境分離株をバイオサーファクタント(微生物由来界面活性剤)生産のための将来のシャーシ候補として探索する価値があり、更なる安全性評価と合理的な弱毒化戦略が求められる。

 本研究は、モデル株以外の環境分離株においても遺伝子工学ツール(具体的には、CBE)の適用可能性を示し、更なる開発を促進するものである。重要な点として、毒性に関連する特性の存在は、将来のバイオテクノロジーへの応用を検討する前に、病原性と封じ込め戦略の詳細な評価が必要なことを明確にしている。

[出典] "CRISPR-driven enhanced hydrocarbon emulsification in an environmental Pseudomonas aeruginosa strain" Salazar-García LM [..] Licona-Cassani C. Microb Cell Fact. 2025-07-02. https://doi.org/10.1186/s12934-025-02769-y [著者所属] Tecnológico de Monterrey (メキシコ) , U de Guanajuato, U Nacional Autónoma de México, Technical University of Denmark (デンマーク)
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