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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 魚の筋肉中の高度不飽和脂肪酸(highly unsaturated fatty acids: HUFA)含有量を高めることは、水産養殖とヒトの栄養にとって極めて重要である。

 近年、遺伝子編集技術が水生動物の栄養価を向上させるための新しいアプローチを提供している。中国の研究チームは今回、CRISPR-Cas9を利用してゼブラフィッシュ(Danio rerio)のehd3 遺伝子をノックアウトし、F2世代で4 bp欠失を持つehd3 遺伝子のホモ接合変異体(ehd3 <-/->)を取得することに成功した。

 F2世代のゼブラフィッシュ52匹では、野生型(AA)、ヘテロ接合型(Aa)、およびホモ接合型(aa)の個体の割合は12:26:14であり、予想されるメンデルの分離比1:2:1とほぼ一致した。野生型ゼブラフィッシュと比較して、ehd3 <-/-> ゼブラフィッシュは筋肉中の脂肪酸含有量が有意に増加しており、EPA(C20:5n3)濃度は2.89倍(P < 0.001)、DHA(C22:6n3)濃度は2.04倍(P < 0.01)、総n-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)濃度は2.24倍(P < 0.01)増加していた。一方で、ehd3 <-/->の体重、体長、体高などの成長特性は、野生型と同等であった。

 これらの知見を総合すると、ehd3 の編集によって魚の筋肉中のEPA、DHA、およびn-3 PUFA含有量を効果的に高めることが可能なことが実証され、その養殖魚の品質向上への応用が期待される。

[参考crisp_bio記事]
[出典] "CRISPR/Cas9-Mediated ehd3 knockout enhances high unsaturated fatty acid content in zebrafish muscle" Yin C, Zhang S [..] Jiang D, Fang M. Food Bioscience. 2025-07-05. https://doi.org/10.1016/j.fbio.2025.107164 [著者所属] Key Laboratory of Healthy Mariculture for the East China Sea
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