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2025-07-10 ニューヨークタイムズも、米国での麻疹の感染拡大についてCDCが7月8日に公表したデータ [*]に基づいて、過去最多になったことを報道した。
[*] 初稿で紹介したイエール大学の調査をベースにしたYour Local Epidemiologist のグラフと整合している.
  • 麻疹は1月にテキサス州の西のMennoniteコミュニティーでアウトブレイクし、ニューメキシコ州とオクラホマ州に飛び火し、現在38の州まで感染が広がっている。
  • 専門家は、麻疹の蔓延を「炭鉱のカナリア」に準えている。百日咳やHib髄膜炎などのワクチンで予防できる他の病気の最初の兆候となることが多いからである。
  • なお、感染者1,288名のうち92%がワクチン未接種または未確認であった
[出典] "Measles Cases Hit Record High, 25 Years After U.S. Eliminated the Disease" Rosenbluth T, Corum J. New York Times. 2025-07-09. https://www.nytimes.com/2025/07/09/well/us-measles-record-outbreaks.html

2025-07-08 初稿

米国の感染症の状況

[出典] "Measles reaches highest number since elimination. Start of a Covid wave? Incoming Medicaid cuts, GAVI, and some good news" Jetelina K. Your Local Epidemiologist. Substack. 2025-07-08. https://yourlocalepidemiologist.substack.com/p/measles-reaches-highest-number-since

1. 米国における麻疹の症例数は、撲滅宣言以来最多

 麻疹2025年の7月第1週までで、米国の麻疹症例数が1,281件に達した。これは、麻疹が撲滅されたと宣言された2000年以降、最多の件数であり [右図のグラフ参照]、また、グラフには含まれていないが、遡って1992年(2,126件)以来の最多件数である。

 長年にわたり、高いワクチン接種率のおかげで麻疹の発生が抑えられてきたが、近年、ワクチン接種率は低下傾向にあった。麻疹は地球上で最も感染力の高いウイルスであるため、ワクチン接種率が低下すると、比較的短期間で再流行することが多い。一方で、興味深いことに、麻疹は(ワクチン接種が始まる前から)数十年にわたり、4~5年ごとに再発を繰り返しているが、その理由は未だ解明されていない。

 米国が麻疹撲滅のステータスを失うわけではないが、アウトブレイクが1年間続くとそのステータスを失うことになる(米国の風土病と認定されるため)。現在、1月に始まり、現在もくすぶっている西テキサスでの大規模なアウトブレイクにより、米国はその半分まで到達したことになる。感染は減速したものの、複数の州の複数の郡で感染が続いており、全国的な感染拡大の主な要因となっている。

 なお、麻疹の原因が不法移民にあるという噂とは異なり、過去のデータによると、麻疹は通常、米国居住者が海外で感染し、それを米国に持ち帰っている。

2. 米国のCOVID-19に夏の波が到来?

 COVID-19の感染レベルは全体的に低い水準にとどまっているものの、夏の波の初期兆候が見られる可能性がある。市中感染の早期かつ信頼性の高い指標である下水データは、様々な兆候を示している。COVID 米国CDCの下水データには大きな変化は見られないが、別の情報源であるWastewaterSCANは、全米各地で感染者数が増加していることを示している [右図グラフ参照]。ネバダ州やテキサス州など一部の州では、いずれののデータでも感染者数が上昇し、もう一つの早期指標である陽性検査数も増加し始めている。

 COVID 英国英国ではCOVID-19の症例数がわずかに増加していたが 、夏に向かって、現在は減少に転じている [右図グラフ参照]。かつては、米国の感染動向は欧州に倣う傾向があったが、昨今、各国の状況が異なるため、今夏は必ずしも英国同様に減少に転ずるとは言えない。英国では60%以上が新型コロナウイルスのワクチン接種を受けているのに対し、米国では25%にとどまっているのである。

 COVID-19はまだ比較的新しいウイルスであり、その季節性リズムは完全には解明されていない。65歳以上、または重度の免疫不全の方は、COVID-19ワクチン接種(年2回接種)が推奨される。

日本のCOVID-19感染状況
  • 厚生労働省の7月4日の発表によると、6月23日から月29日の週のデータまでで、定点当たりの報告数も入院数も増加傾向にある [それぞれ左下図と右下図参照]。

    厚労省報告数 スクリーンショット 2025-07-08 8.19.25
  • 札幌医科大学定点観測データをもとにしてはいるが札幌医科大学のSARS-CoV-2感染者数の推定でも、6月29日の時点で増加傾向にある [左図参照]。
  • 日本における新型コロナウイルス変異株の感染状況:ETH ZurichのcEvo groupが中心になって運営している変異株GenSpectrumが提供しているCov-Spectrumによると、日本では変異株NB.1.18.1が主流になっている [左図参照]。[注] cEvo groupは、ETH Zurichと米国CDCのOffice of Advanced Molecular Detection (OAMD)から資金を得ている。
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