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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 指向性進化とは、突然変異と人為的選択を繰り返すことで、新たな活性や活性向上を持つ生体分子を創製する手法である。指向性進化プラットフォームはこれまで主として原核生物または酵母をベースとしていた。しかし、これらの環境には、哺乳類細胞に見られる翻訳後修飾、タンパク質間相互作用、シグナル伝達ネットワークといった機能が十分に備わっていないないことから、哺乳類タンパク質の創製には、哺乳類細胞をベースとするプラットフォームが理想的である。

 この理想は、まず、哺乳類外突然変異誘発技術(ex mammalia mutagenesis techniques)に表現型スクリーニングと組み合わせることで実現され、近年では、標的突然変異誘発によって、タンパク質機能と選択マーカーまたはスクリーニングマーカーが結び付けられ、同一の哺乳類細胞における標的の多様化とバリアント選択が可能になった。しかし、宿主細胞に統合された標的分子を細胞の適応度に結びつけるこうした細胞ベースのアプローチは、宿主ゲノムの変異によって阻害されるリスクがあった。

 このリスクは、標的タンパク質をウイルスゲノムに配置することで、軽減できる。指向性進化の各段階でナイーブな宿主細胞を提供できるからである。しかし、このアプローチには、安全性への懸念、低い変異率、標的特異性、あるいは機能性の欠如といった制約があった。

 シドニー大学の研究チームは今回、キメラ(chimeric)ウイルス様小胞(virus-like vesicles: VLV)を用いることで、指向性進化にウイルスを利用することに伴う制約を解消し、システムの完全性を損なうことなく哺乳類の指向性進化キャンペーンを長期間実施できるプラットフォームであるchimeric viral platformPROTEUSPROTein Evolution Using Selection)を開発した [Fig. 1引用右図参照]。

 PROTEUSは安定しており、哺乳類システムにおける指向性進化に十分な多様性を生み出すことができる。実際に、PROTEUSを用いて、テトラサイクリン制御性トランスアクチベーターのドキシサイクリン応答性を変化させ、哺乳類特異的な適応を伴う遺伝子調節のための、より高感度なTetON-4Gツールを創出した。さらに、PROTEUSは細胞内ナノボディ進化にも適合していることを、DNA損傷応答性抗p53ナノボディの進化で実証した。

 PROTEUSは哺乳類細胞内で生体分子を指向性進化させるための高性能なプラットフォームである。

[出典] "A chimeric viral platform for directed evolution in mammalian cells" Cole AJ, Denes CE [..] Hesselson D, Neely GG. Nat Commun. 2025-05-07. https://doi.org/10.1038/s41467-025-59438-2 [著者所属] The University of Sydney (Centenary Institute and Faculty of Medicine and Health, The Dr. John and Anne Chong Lab for Functional Genomics)
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