[NEWS]
“CRISPR reveals genetic master switches behind
butterfly wing patterns. - One gene draws the lines while a second fills in the
colours.” Lallensack R. Nature NEWS. 18 September 2017.
CRISPR技術の出現によって、非モデル動物であるチョウの多様な擬態模様の遺伝基盤解明が加速されている。今回、タテハチョウ科(nymphalidae)複数種の翅パターンの比較と、翅パターンに関連する遺伝子として知られていたWntA遺伝子[論文 1]とoptix遺伝子[論文 2]の機能喪失実験から、生物の形態多様化が極めて少数の遺伝子に支配されることを示した。
[論文1]
“Macroevolutionary shifts of WntA function potentiate butterfly wing-pattern diversity.” Mazo-Vargas
A,,,,Zhang L,,,Read RD,,Martin A. PNAS. Published online before print September 18.
- タテハチョウ科には6,000種が属し、その殆どが擬態模様で同定されることから、生物の形態発展の構造基盤解明のための格好のモデル系である。今回、タテハチョウ7種において、CRISPR/Cas9によるWntA遺伝子単独のモザイク変異ノックアウト(mKO)が、翅のパターン・エレメントに多重な変化を引き起こすことを見出した。
- WntAはストライプ様パターン形成に必須であり、また、ヒメアカタテハ(Vanessa cardui)の前翅では眼状紋形成の機能を獲得し、Heliconius2種では、明色とそれを囲む黒色の領域との境界を規定していた(mKOが色の滲みをもたらした)。
- WntA mKOは、ヒョウモンドクチョウ(Agraulis vanillae)では、WntA mKOが翅の表面上で隣り合う領域に相反する効果を与え、オオカバマダラ(Danaus plexippus)に白色の静脈パターンの顕在化や、白色ドットの拡大をもたらした。(挿入図は対象とされたチョウのサンプル写真)
- WntAはそれ自身の機能の多様化もあり、同一個体内(同一の翅の表面を含む)のパターンおよび種々のチョウが系統進化する過程での翅のパターンの多様化に関わることが明らかになった。
[論文2]
“Single master regulatory gene coordinates the
evolution and development of butterfly color and iridescence.” Zhang L, Mazo-Vargas
A, Reed RD. PNAS. Published online before print September 18, 2017.
- タテハチョウ4種において、CRISPR/Cas9によるoptix遺伝子単独のmKOの効果を解析、対象種全てにおいて翅やその他の部位の色を野生型から黒または灰色に変え、また、驚くべきことにアメリカタテハモドキ(Junonia coenia)にはモルフォチョウに見られるような青く輝く構造色(下図左)のスポットが発生した。すなわちoptix遺伝子が多重の機能を担っていることが明らかになった。
[参考]
- 上図右 [CRISPR/Cas9によるチョウの翅パターン制御論文] “Outbred genome sequencing and CRISPR/Cas9 gene editing in butterflies.”
Li X et al. Nat Commun. 2015 Sep 10;6:8212.
- “RNA polymerase I, bending
the rules?” Jochem L, Ramsay EP, Vannini A. EMBO J. 2017 Sep 15;36(18):2664-2666.




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