βヘモグロビン症は、成人のβグロビン鎖の産生に影響を与える変異によって引き起こされる重篤な遺伝性疾患である。臨床的重症度は、成人において胎児β様γグロビンの産生を再活性化させる変異の共遺伝によって軽減される。しかし、成人ヘモグロビンから胎児ヘモグロビン(HbAからHbF)への切り替えを担うエピジェネティックメカニズムは未だ十分に解明されていない。
フランス、イタリア、ドイツの研究チームは今回、CRISPRエピゲノム編集技術を用いて、γグロビンおよびβグロビン遺伝子の制御機構を分子レベルで解明することで、βヘモグロビン症の新規治療法の開発を目指した。
胎児プロモーターにおけるdCas9-Tet1によるDNAメチル化の標的除去(単独またはdCas9-CBP*によるヒストンアセチル化の付加との併用)は、効率的かつ持続的なγグロビン再活性化をもたらし、DNAメチル化がHbF抑制の駆動因子であることが実証された [グラフィカルアブストラクト引用右上図参照]。[*] "Gene activation by dCas9-CBP and the SAM system differ in target preference" Sajwan S, Mannervik M. Sci Rep. 2019-12-02. https://doi.org/10.1038/s41598-019-54179-x
高い特異性と良好な安全性プロファイルを特徴とするこの戦略は、鎌状赤血球症患者の赤血球細胞における病理学的表現型に大幅な改善をもたらした。
[出典] "Dissecting the epigenetic regulation of the fetal hemoglobin genes to unravel a novel therapeutic approach for β-hemoglobinopathies" Amistadi S [..] Miccio A. Nucleic Acids Res. 2025-07-10/22. https://doi.org/10.1093/nar/gkaf637 [著者所属] Paris Cité U (フランス), Hôpital Necker-Enfants Malades, University of Padova (イタリア), Medical Center - University of Freiburg (ドイツ)
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