遺伝学の第一義的目標は、健康と疾患における遺伝子型と表現型の関連性を理解することである。数十から数千の遺伝子要素をプールして摂動(perturbation)を加えその作用を見る遺伝子スクリーニングは、大規模で情報量が多く、偏りのない遺伝子型・表現型マップを作成する機会を提供する。通常は還元主義的なin vitro設定で適用されるが、in vivo(生体内)でのプール型CRISPR-Cas摂動スクリーニングを可能にする方法は、多様な細胞、組織、発生段階、疾患状態、種に渡る遺伝子機能の発見とアノテーションを加速させる可能性を秘めていることから、注目を集めている。
チューリッヒ工科大学を主とする研究チームが今回、マウスにおけるプール型CRISPRベースのスクリーニングに焦点を当て、生体内スクリーニング実験を理解、設計、実装するための必須基準について考察する。また、得られたデータセットをマルチオミクスおよび人工知能(AI)の進歩と組み合わせることで、基礎科学およびトランスレーショナル・サイエンス全体の進歩を加速し、根本的な発見を可能にする方法についても説明する。
[構成]
- はじめに
- 生体内CRISPRスクリーニングの種類
- スクリーニングの種類
- gRNAのin vitro/ex vivoデリバリーによる生体内スクリーニング
- gRNAを直接細胞に導入するダイレクト生体内スクリーニング
- スクリーニングの読み出しの種類
- カウントベースのスクリーニング
- ハイコンテントスクリーニング
- ダイレクト生体内CRISPRスクリーニングの設計
- 標的細胞におけるCasタンパク質の直接発現
- ウイルスを介したCRISPR試薬の直接送達
- 発現ベクターの設計
- ユニバーサルデザインの特徴
- 単一細胞スクリーニングにおいて追加すべき考慮事項
- 空間スクリーニングにおいて追加すべき考慮事項
- 感染多重度
- gRNAライブラリの規模
- 生体内スクリーニングの解釈
- カウントベースス・クリーニングの読み出し
- サンプリング戦略
- gRNAの数の測定
- 標的遺伝子座の変異の測定
- ハイコンテントスクリーニングの読み出し
- 単一細胞スクリーニングの読み出し
- 空間スクリーニングの読み出し
- スクリーニング結果の検証
- 生体内CRISPRスクリーニングの将来
- 遺伝子ノックアウトを超える編集ツールボックスの探求(CRISPRa/i; プライム編集; 多重化)
- より多くの細胞種をターゲットに
- マルチオミク・スクリーニング
- 機能的リードアウト
- 疾患修飾因子と治療薬
- 仮想細胞ヴァーチュアルセル(参考crisp_bio記事: 2025-06-30 ; 2025-06-20; 2025-04-01_2 ; 2025-04-01_1)
- 結論
- 参考文献 (244)
[図表一覧]
- 図1:生体内CRISPRスクリーニングの種類
- ボックス1 CRISPRツールボックス
- 図2:生体内CRISPRスクリーニング用発現ベクターの設計
- 図3:生体内CRISPRスクリーニングの様々な手法におけるサンプル処理、リードアウト、および期待される結果
- 図4:生体内CRISPRスクリーニングの威力と可能性
- 表1:標的組織別ダイレクト生体内プール型CRISPRスクリーニング結果の概要
[出典] Review "Methods and applications of in vivo CRISPR screening" Santinha AJ, Strano A, Platt RJ. Nat Rev Genet 2025-07-29. https://doi.org/10.1038/s41576-025-00873-8 [著者所属] ETH Zurich, University of Basel, Basel Research Center for Child Health, NCCR Molecular Systems Engineering
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