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2026-04-04 Sana Biotechnology社による「14ヶ月にわたるフォローアップ結果」のプレス発表 (2026-03-13) を以下に引用し、ブログ記事タイトルを「1型糖尿病患者に移植した低免疫化膵島細胞が, 免疫抑制剤を使用することなく安全に定着し, インスリンを分泌し始めた」から「1型糖尿病患者の腕に, 低免疫化したドナー由来膵島細胞を注射したところ, 免疫抑制剤を使用することなく安全に定着し, インスリンを分泌し始めた」へ改訂
  • 14ヶ月間の追跡調査データによると、低免疫(Hypoimmune:HIP)修飾膵島は安全で、免疫系による検出を回避し、長期生存し、インスリン産生を継続することが示された。
  • インスリン産生のバイオマーカーである循環Cペプチドの値は、検出不能であったが、試験開始後最初の6ヶ月で上昇し、14ヶ月後も同レベルであった。
  • Cペプチドレベルは混合食事耐性試験に反応して増加し、食事に反応したインスリン分泌と一致した。試験では安全性の問題は確認されなかった。
  • 52週のPET-MRIスキャンは移植部位に膵島細胞があることを示した。
  • Sana Biotechnology社は、検証済みのHIP技術を活用し、幹細胞由来のHIP修飾治療薬SC451を開発している。SC451は、インスリンや免疫抑制剤を使用せずに正常血糖値を目指す1型糖尿病患者向けの単回投与治療薬として設計されている。
[出典] "Sana Biotechnology Announces Continued Positive Clinical Results Through 14 Months from Type 1 Diabetes Study of Islet Cell Transplantation Without ImmunosuppressionSana Biotechnology 2026-03-13. 9:00 AM EDT. https://ir.sana.com/news-releases/news-release-details/sana-biotechnology-announces-continued-positive-clinical-results
2025-09-30 Science 誌の論文紹介ニュース記事を以下に引用
 2024年12月、42歳のスウェーデン人男性が、1型糖尿病の新たな治療法の初のヒト臨床試験の一環として、CRISPR-Cas12bシステムにより然るべく一連の遺伝子が改変されたドナー由来の膵臓細胞を左腕に17回注射された。NEJM 論文によると、注入された細胞は少なくとも3ヶ月間生存し、インスリンを産生し始め、患者の免疫系による攻撃を免れたことが明らかになった。
[出典] "Immune-dodging cells could give diabetes treatment a shot in the arm" Leslie M. Science. 2025-08-04. 
https://doi.org/10.1126/science.zobcki5

2025-08-11 NEJM 誌刊行論文とSana Biotechnology社のプレスリリースに準拠した初稿
 1型糖尿病の標準治療は長年にわたりインスリン注射であった。しかし、その効果は限定的で治癒には至らない。一方で、健常なドナーからインスリンを産生する膵島内のβ細胞を移植する療法は、治癒をもたらす可能性がある。しかし、この移植には、患者は事前に侵襲的な強力な免疫抑制療法を受ける必要がある。

 スウェーデン、ノルウェーおよび米国の研究チームは、CRISPR-Cas12bを介した遺伝子編集によりヒト低免疫プラットフォーム(human hypoimmune platform: HIP)を利用して低免疫化したβ細胞(以下、HIP-β細胞)[コード名 UP421] の移植により、侵襲的免疫抑制療法をが不要になることを、示した。

 研究チームは、CRISPR-Cas12b遺伝子編集技術により、ドナー由来β細胞のHLAクラスIおよびIIをノックアウトすることで獲得性T細胞拒絶を抑制し、CD47を過剰発現させることでマクロファージおよびナチュラルキラー細胞の抑制を通じて自然免疫細胞の殺傷を抑制することを試みた。

 移植後12週の時点で、免疫抑制措置が全くとられなかった被験者において、HIP-β細胞に対する免疫反応は示されなかった。また、Cペプチド測定では、安定した血糖値応答性のインスリン分泌が維持されていた。有害事象は合計4件発生したが、いずれも重篤ではなく、HIP-β細胞との関連性もなかった。HIP膵島細胞移植はインスリン非依存を達成するために反復移植可能であることも実証された。

[臨床試験]
  • NCT06239636First-in-human Safety Study of Hypoimmune Pancreatic Islet Transplantation in Adult Subjects With Type 1 Diabetes
[出典]
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