CRISPR/Cas技術はゲノム工学に革命をもたらし、かつてない治療の可能性を解き放った。しかし、いわゆるオフターゲット(OT)変異誘発に関するよく知られた懸念に加え、最近の研究では、より差し迫った課題が明らかになっている。それは、特にDNA-PKcs阻害剤で処理した細胞において観察された、染色体転座やメガベーススケールの
欠失を含む大規模な構造変異(SV)である [ショートリードシーケンシングの限界をまとめたFig. 1引用右図参照]。
欠失を含む大規模な構造変異(SV)である [ショートリードシーケンシングの限界をまとめたFig. 1引用右図参照]。 CRISPR-Cas9遺伝子編集により染色体構造が改変されることは早期から指摘されていたが、OT変異に比べると過小評価される傾向があった。しかし、CRISPR療法の臨床応用が広がるに従って、警鐘が鳴らされている。
ドイツの研究チームが今回、オンターゲット異常と染色体転座に関する新たなエビデンスを概説し、これらの有害作用の根底にあるDNA修復経路に関する理解における重要なギャップを特定し、ゲノム編集の安全性を向上させるための戦略について考察する。
[構成]
- CRISPR editing: balancing efficiency and precision
- Beyond indels: the complex landscape of CRISPR-induced variations
- Balancing efficiency and risk: the pitfalls of over-tuning genome editing
- Off-target mitigation: when precision comes at a cost
- CRISPR safety: clinical implications
- References (67)
- Fig. 1: Limitations of short-read sequencing in gene editing analysis.
[関連crisp_bio記事例]
- 2024-12-01 Cas9を介したHDRを亢進するDNA-PKcs阻害剤AZD7648は, 一方で大規模なゲノム改変を引き起こす
- 2023-09-02 CRISPR-Cas9ゲノム編集はiPS細胞において、sgRNAと相同性が無い領域にも大きな染色体構造変異を誘導する
- 2019-03-10 CRISPR-Cas9が誘導するDSBは,大規模な染色体短縮をもたらす
- 2020-12-12 ヒト胚CRISPR-Cas9遺伝子編集により染色体大混乱
[出典] Perspective "The hidden risks of CRISPR/Cas: structural variations and genome integrity" Aussel C, Cathomen T, Fuster-García C. Nat Commun. 2025-08-05. https://doi.org/10.1038/s41467-025-62606-z [所属機関] Medical Center – University of Freiburg, German Cancer Consortium (DKTK) and German Cancer Research Center (Partner Site Freiburg), University of Freiburg,
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