2025-12-31 ブログ記事タイトルを「エピゲノム編集によるプロモーターCpGメチル化の除去は、HBGサイレンシングを回復させる」から「CRISPRエピゲノム・エディターによる胎児性ヘモグロビンの活性化を介したβヘモグロビン症療法の可能性」へと改訂し、論文から図を引用し本文も一部改訂した。
2025-08-22 初稿
成人で発現するβグロビン遺伝子(HBB 遺伝子)の変異によって引き起こされるβヘモグロビン症に対する治療法として、通常周産期にサイレンシングされ成人では発現しないHBB のパラログ遺伝子HBG1およびHBG2 の再活性化を介して胎児型ヘモグロビン(HbF)を産生させるアプローチが試みられてきた。
その中で、患者から採取した造血幹細胞を体外にて、CRISPR/Cas9 GEを介して胎児型ヘモグロビンの発現を抑制する転写因子BCL11Aの遺伝子のエンハンサーをノックアウトすることで胎児型ヘモグロビンの発現を上昇させた上で、患者に自家移植することで、鎌状赤血球症とβサラセミアの表現型を治癒する治療法法 CASGEVY® (CTX001) が承認された。
オーストラリアと米国の研究者たちは今回、CRISPR/Cas9システムをベースにしながらも、エピゲノム・エディターを介してCas9ヌクレアーゼによる編集と異なり、ゲノム配列の切断や欠失を招くことなくHbFの発現を再活性化可能なことを示した。
- CRISPR/Cas9スクリーニングにより、DNMT1関連維持型DNAメチル化タンパク質UHRF1がHBG 抑制のメディエーターであることを発見した。
- 成人型赤血球細胞株HUDEP2において、UHRF1をノックアウトすると、グローバル脱メチル化とHBG 活性化が誘導される。
- エピゲノム・エディター(dCas9-TETv4 (脱メチル化関連酵素TET1の触媒活性ドメイン))による、HBGプロモーターの脱メチル化によって、HUDEP2または初代培養CD34+細胞由来赤芽球において、HBG遺伝子が活性化する。
NuRDコリプレッサー複合体のCpGメチル化読み取り構成要素であるMBD2の変異は、プロモーター脱メチル化の影響を再現する [Fig. 7引用右図参照]。
こうして、HBGプロモーターにおける局所的なCpGメチル化がHBG 遺伝子のサイレンシングを促進し、一方で、エピゲノム・エディターによる脱メチル化によりHBG 遺伝子の活性化が可能であることが実証され、βヘモグロビン症の新たなモードの遺伝子治療法の可能性が示唆された。
[出典] “Removal of promoter CpG methylation by epigenome editing reverses HBG silencing” Bell HW, Feng R [..] Weiss MJ, Crossley M. Nat Commun. 2025-07-27. https://doi.org/ 10.1038/s41467-025-62177-z [所属機関] University of New South Wales (オーストラリア), University of Sydney, St. Jude Children's Research Hospital (米国), Versiti Blood Research Institute
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