crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[] 転写活性化ドメイン(transcription activation domain: TAD

 CRISPRaは、不活性化したCasヌクレアーゼにTADを融合させた合成遺伝子活性化因子である。これまで、CRISPRaの性能向上に向けて、TADのハイスループット探索(Alerasool et al., Mol Cell 2022; DelRosso et al., Nature 2023)とヒトTADhTAD)融合体のエンジニアリング(Mahata et al. Nat Methods 2023 (CRISPR-DREAM); Tycko et al. Nat Biotechnol 2024が続けられてきた。浙江大学の研究チームが今回、初めて、これまでに報告された一連のhTADの比較評価を実施した。

  • 8種類のhTADsをそれぞれdCas9に直接融合した場合、VPRと比較して活性化効果が弱いことが明らかになった。
  • 次に、最も高活性であった4種類のhTADsをペアワイズで組み合わせた16種類のコンビナトリアルhTADを評価した []
  • コンビナトリアルhTADは、特定の状況においてVPRと同等の効率を示し、免疫原性リスクを最小限に抑えながら細胞機能を制御するための理想的なツールになった。
  • 免疫原性予測ツールを用いた解析から、このコンビナトリアルhTADには免疫原性が低い9merペプチドが含まれていることが明らかになった。

[*] コンビナアトリアルhTAD詳細

  • NP(NFZ-p65HSF1, 460 aa)、CM(CITED2-MSN, 355 aa)、CP(CITED2-p65HSF1, 378 aa)はいずれもVPRよりも小型でありながら、同等の活性化効率を維持している。
  • CNは一部の遺伝子座では弱いものの、わずか207アミノ酸と大幅に小型であるため、複数の直交dCasタンパク質を用いて複雑な遺伝子制御ネットワークを制御する場合や、追加の制御スイッチを組み込む必要がある場合などに、有利である。
  • NPは小型のdCasMINIプラットフォームと互換性があることから、CRISPRa全体のコンパクト化を向上させることができる。
  • これらのコンビナトリアルhTADを他のdCasタンパク質にも拡張することで、標的可能な配列空間をさらに拡大できる。

[出典]Efficient CRISPR-based gene activation using combinatorial human transcription activation domains” Zhou YL, Sang Y, Xu L, Ren C [..] Bao Z. Protein Cell. 2025-08-25. https://doi.org/10.1093/procel/pwaf061 [所属] Zhejiang University, Zhejiang University School of Medicine

[関連crisp_bio記事CRISPR-DREAM 2023-10-13 CRISPRaにヒトの機械感受性転写因子ドメインを組み込むことで、活性と汎用性の高い転写制御を実現

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