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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 Acremonium chrysogenumは抗菌薬セファロスポリンCCPC)の重要な産業生産菌であり、そのさらなる有効利用と代謝工学には効率的なゲノム編集ツールが不可欠である。A. chrysogenum用のCRISPR/Cas9システムは現在、Aspergillus nidulans PgpdAAspergillus fumigatus AfU6pなどの異種プロモーターを用いてsgRNAを発現させている。これらのシステムでは、リボザイムやtRNAなどの追加のsgRNAプロセッシング・エレメントが必要になることが多く、クローニングの複雑さと実験作業負荷が課題になっている。

 天津を拠点とする中国の研究チームは今回、sgRNAの転写にA. chrysogenum内在の5S rRNAプロモーターを用いることで、簡素化され高効率なCRISPR/Cas9ゲノム編集システムを実現した。このシステムはプロセッシング・エレメントを必要とせず、sorB 遺伝子を標的とすることで最大100%の遺伝子破壊効率を達成した。

 また、このプラットフォームは、ソルビシリノイド生合成遺伝子クラスター内において、ドナーDNAを用いることなく、100%の単一遺伝子削除と、これまでで最大の66.17 kbの効率的な大規模染色体削除を実現した。

 さらに、このシステムは、kusA 遺伝子座における相同組換えを介したマーカー置換を通じて、正確かつ反復的な遺伝子編集を可能にした。

 こうして、5S rRNA-CRISPR/Cas9が、A. chrysogenumの機能ゲノミクスと株改良のための、汎用性が高く、強力かつ効率的なゲノム編集ツールキットであることが、実証された。

[出典] A Highly Efficient 5S rRNA-CRISPR/Cas9 Genome Editing Toolkit in Acremonium chrysogenum” Zheng X, Zhai Y, Chathurika HAW et al. J Agric Food Chem.2025-09-01. https://doi.org/10.1021/acs.jafc.5c06429 [所属] Tianjin University of Science & Technology, Tianjin Institute of Industrial Biotechnology CAS, State Key Laboratory of Engineering Biology for Low-Carbon Manufacturing, National Center of Technology Innovation for Synthetic Biology, University of Chinese Academy of Sciences

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