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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 西北農林科技大学の研究チームは微生物ゲノムの多重染色体編集の観点から、E. billingiae QL-Z3を対象として、自殺プラスミドpDM4による遺伝子ノックアウト、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ、およびCRISPR/Cas9nによる編集を比較評価した。

 自殺プラスミドの編集効率は1~4%にとどまり、編集に時間を要した。Cas9ヌクレアーゼの編集効率は35-50%に達したが、毒性が強く、また、大規模ゲノム編集が困難であった。

 これらに対して、2種類のCas9nシステム(pCas9n-H840AおよびpCas9n-D10A)はいずれも、単一遺伝子の削除(0.67.4 kb)および挿入(0.7 kb)において100%の効率を達成した。さらに、二重遺伝子編集でも100%の効率を維持し、三重遺伝子編集においてはpCas9n-H840A75%の編集効率を達成した。一方で、pCas9n-D10Aは幅広い規模の編集において一貫して100%の効率と安定性を達成した。

 pCas9n-H840Aを利用することで、3つのリグニン分解遺伝子(EDYP_48ELAC_205ESOD_1236)の欠損を介して、アルカリリグニンのバイオコンバージョンに関与する酵素活性が著しく低下することが確認された。また、EDYP_48ELAC_205の多重遺伝子欠損が、フェルラ酸の消費とバニリン酸とプロトカテク酸の蓄積及ぼす影響が確認された。

 pCas9n-D10Aシステムについては特筆すべきことに、わずか3.5日でゲノム編集サイクルを完了し、従来の方法と比較してターンアラウンドタイムが70%以上短縮された。

 pCas9n-D10A を介した多重遺伝子編集には、E. billingiae QL-Z3株をはじめとする多くの細菌における株の改変や細胞工場の構築のための代謝工学を加速させることが、期待される。

[出典]Enhancing multiple genome editing efficiency by employing CRISPR/Cas9 nickases in Erwinia billingiae QL-Z3” Zhao S [..] Wei Y, Huang L. Results Eng. 2025-09-01. https://doi.org/10.1016/j.rineng.2025.107024 [所属] Northwest A&F University (中国)

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