Thermoanaerobacter kivuiは、66℃までの高温で生育可能な好熱性酢酸生成細菌である。グルコース、マンノース、フルクトースなどの炭水化物を代謝するほか、水素(H₂)と二酸化炭素(CO₂)または一酸化炭素(CO)を利用する無機栄養要求性細菌であり、酢酸を主産物としている。したがって、T. kivui は高温発酵条件下で水素と二酸化炭素、あるいは合成ガスから様々な生化学物質を生産するための、新たな代謝工学プラットフォームとして期待されている。
T. kivuiのための簡便かつ効率的なゲノム編集システムは、エネルギーおよび炭素代謝に関与する酵素の生理機能の理解を促進するだけでなく、代謝工学の発展にも寄与する。
この課題に対処するため、江蘇大学と山東大学の研究者達は今回、T. kivui ゲノムへの標的遺伝子ノックアウトおよび遺伝子組み込みを可能にする耐熱性Cas9系ゲノム編集システムを開発した。
アルコール脱水素酵素をコードするadh 遺伝子と乳酸脱水素酵素をコードするldh 遺伝子に対し、遺伝子ノックアウトアッセイを実施した。さらに、アルデヒド/アルコール脱水素酵素の二機能性酵素をコードするThermoanaerobacter ethonicus 由来のadhE 遺伝子をT. kivui ゲノムに組み込むことに成功し、この組み換え株はエタノールを生産するようになった。さらに、硫酸カナマイシンを添加した液体培養を約72時間行ったところ、遺伝子編集の効率が向上し、得られたコロニー全体における変異体の割合は90%に達した。
これらの結果は、T. kivui における遺伝子編集における耐熱性Cas9系ゲノム編集システムの有効性と効率性を実証し、二酸化炭素や有機基質をバイオテクノロジーによって付加価値の高い製品に変換するT. kivui 細胞工場の可能性を示している。
[出典] “A thermostable Cas9-based genome editing system for thermophilic acetogenic bacterium Thermoanaerobacter kivui” Le Y [..] Sun J, Ni J, Wang H. Apple Environ Microbial. 2025-09-08. https://doi.org/10.1128/aem.01170-25 [所属] Jiangsu University, Shandong University
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