農業、バイオセキュリティ、そしてヒトの健康において、病原体と害虫の迅速かつ正確な検出は極めて重要である。オーストラリアの研究機関EMAIの研究者達は今回、ナノポアCas9標的シーケンシング(Nanopore Cas9-targeted sequencing: nCATS)のための6種類のgRNA産生法の感度と実用性を、病原体および害虫の多重検出における実現可能性に焦点を当てて検討した。
各方法により、経済的に重要な5種類のコムギ真菌病原体、Puccinia graminis f. sp. Tritici(PGT)、Puccinia striiformis f. sp. Tritici(PST)、Puccinia triticina(PT)、Blumeria graminis f. sp. Tritici(BGT)、およびZymoseptoria tritici(ZT)における
5.8S_rRNA-ITS2-28S_rRNA領域(以下、ITS2)の約1.6 kb断片を切り出すことができる [Fig. 1引用右図 a 参照] 8つのgRNAライブラリが生成された。これらの病原体は、それぞれ茎さび病、黄さび病、葉さび病、うどんこ病、およびセプトリア葉枯病の原因となる。
市販の合成gRNAとEMAI内でin vitro転写されたgRNA [Fig. 2引用右図参照]の有効性と、シーケンシングエンリッチメント結果への影響を評価した結果、gRNAの収量、完全性、性能、およびコストに関して、各方法間の違いが浮き彫りなった。
その中でEMAIが開発した最も優れたgRNA生産方法(HiScribe cr:tracrRNAs)について、0.96~8.4 pgの範囲で試験を行ったところ、66~2037Xのカバレッジですべての標的配列を同定することに成功した。
本研究は、マルチプレックス病原体および害虫検出のためのnCATS導入における課題と可能性を明らかにし、nCATS向けの費用対効果が高く信頼性の高いgRNA生産戦略の開発に関する知見を提供した。
[出典] “Optimising Guide RNA Production for Multiplexed Cas9-Targeted Nanopore Sequencing to Detect Pathogens” McFarlane GR, Whitaker K, Plett KL. et al. Mol Biotechnol.2025-09-07. https://doi.org/10.1007/s12033-025-01510-9 [所属] Elizabeth Macarthur Agricultural Institute (オーストラリア)
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