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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] 抗酸化作用を持つポリフェノールの一種であるレスベラトロールは、赤ワインに含まれていることが、フレンチパラドックスとの関連から、一般にも良く知られている。
 レスベラトロールは、ストレス環境に適応して反応し、健康および医療療法において様々な役割を果たす重要なファイトアレキシン(phytoalexin)である。しかし、限られた数の植物種に低濃度でしか存在しないため、その開発と利用が妨げられている。
 カルコン合成酵素(CHS)とスチルベン合成酵素(STS)は同じ基質を触媒して、それぞれフラボノイドとレスベラトロールを生成する。しかし、CHSとSTSが代謝産物の合成においてどのように競合するかは依然として不明である。
 福建省農業科学院 (FAAS) 農産物加工研究所を主とする中国の研究チームは、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて、2つのCHS2 変異細胞株(MT1とMT2)を作製した。これらのCHS2 変異細胞株は豊富な変異を示し、タンパク質翻訳の未成熟終止とそれに続くCHS2 ノックアウトを引き起こした。
 アンプリコンシーケンシングにより、MT1細胞株では包括的な ノックアウトが確認されたが、MT2細胞株では野生型の配列が優勢のままであった。トランスクリプトームおよびRT-qPCRの結果、CHS2CHS3F3HF3’HDFRFLSLDOXなど、フラボノイド生合成に関与する遺伝子の顕著なダウンレギュレーションが示され、アントシアニン、プロアントシアニジン、ケルセチン、ケンフェロールなどのフラボノイドの蓄積が減少した。一方、スチルベノイド生合成に関与するSTS遺伝子は、フラボノイド経路と競合してアップレギュレーションされた。その結果、レスベラトロール、ピセアタンノール、ピセイド、プテロスチルベンなどのスチルベノイドが顕著に増加し、CHS2 変異細胞株ではレスベラトロールが4.1倍、ピセイド(レスベラトロールの誘導体)が5.3倍に増加した。
 この研究は、CHS2 変異がフラボノイド生合成からスチルベノイド生合成への移行を誘発することを実証し、代謝産物の生合成と制御に関する新たな知見を提供するとともに、天然レスベラトロール生産の代替ソリューションと、CRISPR-Cas9 を使用して目的外の農業特性を排除するための新しい育種アプローチの可能性を示した。
[出典] 
  • 論文 “CRISPR/Cas9-mediated CHS2 mutation provides a new insight into resveratrol biosynthesis by causing a metabolic pathway shift from flavonoids to stilbenoids in Vitis davidii cells” Lai G [..] Lu J, Lai C. Hortic Res 2024-10-09/2025 Jan. https://doi.org/10.1093/hr/uhae268 [所属] Institute of Food Science and Technology FAAS (中国); Institute of Resources, Environment and Soil Fertilizer FAAS; Key Laboratory of Subtropical Characteristic Fruits, Vegetables and Edible Fungi Processing; Shanghai Jiao Tong University
  • NEWS “Gene Edit Rewires Grape Cells to Mass-Produce ResveratrolSciChi 2025-09-15. https://scienceblog.com/sciencechina/2025/09/15/gene-edit-rewires-grape-cells-to-mass-produce-resveratrol/
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