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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 遺伝子編集の世界は、CRISPRを超えて進化を続けているが、CRISPRの成功から得られた教訓は今もなお生き続けている。例えば、ペプチド・核局在シグナル(NLS)は、Cas9活性を原核細胞から真核細胞へと展開する上で極めて重要であった。UCSDのGene Yeo教授が率いるUCSDの各部局とイェール大学の研究チームは今回、同様に、プログラム可能な誘導RNAスキャフォールドの最適な細胞内局在を実現することで、mRNAに対する標的塩基編集を行う内因性タンパク質機構の能力を増強できるという仮説を立てた。
 この仮説を検証するため、内因性のウリジンに富む核内低分子RNA(uridine-rich small nuclear RNA: U snRNA)の構成要素をRNA核質局在シグナル候補として選択した。U snRNAは、pre-mRNAを成熟mRNAへと処理するためにタンパク質複合体をリクルートする性質を持ち、これまでにRNAスプライシングを調節するように改変された例がある [例えば、Rogalska et al., Nat Commun, 2016]。研究チームは今回、U snRNAが哺乳類mRNAにおける内因性タンパク質介在性塩基編集(A>IおよびU>Ψ)を増強する能力を評価し、先の仮説に基づくアプローチで、高精度かつ高効率なRNA塩基編集が可能であり、さらに、嚢胞性線維症の治療に展開する可能性も示した。
[詳細]
 これまでに、改変された U1 および U7smOPT snRNA を使用した前臨床研究において、疾患救済におけるエクソンの包含と除外にすでに期待が寄せられていることが示されている。実際、DMD のエクソン 2が重複しているジストロフィン症男児を治療するための AAV9 媒介 U7smOPT snRNA 遺伝子治療の第 1/2 相臨床試験(NCT04240314)が進行中である。この実績と、他のほとんどの U snRNA が U1 の下流でリクルートされるという事実に基づき、研究チームはこれら 2 つの U snRNA に注目した。
 U1 snRNA (高発現している U1A、U1-70K、U1C、および Sm コアのメンバーによって結合) は、主要なスプライソソームを開始して pre-mRNA からイントロンをスプライシングする。一方、U7 snRNA は、非ポリアデニル化ヒストン pre-mRNA の 3' 末端プロセシングを開始する。U7smOPT snRNAは、U7 snRNAをSmコア(スプライシングU snRNAの大部分の主要構成要素)のみに結合し、LSmタンパク質には結合しない状態にした変異体である。U1 snRNAとU7smOPT snRNAはそれぞれ153塩基と45塩基のバックボーンを持ち、比較的小型で、脂質ナノ粒子からアデノ随伴ウイルスまで、様々な遺伝子送達媒体に容易にコードすることができる。
 内因性のU snRNAは、RNA-タンパク質複合体を形成し、真核生物のpre-mRNAをmRNAへと成熟させる。これまに、U snRNAを介して、mRNAへのエクソンの包含(エクソン・インクルージョン)とmRNAからのエクソンの除外(エクソン・エクスクルージョン)を誘導可能なことが、実証されている。研究チームは今回、U snRNAを利用することで、ヒト細胞におけるRNA塩基編集を、最先端のRNA標的化技術を超えて強化できるかどうか評価した。
 既存の単一成分A-to-I変換プログラム可能ガイドRNAスキャフォールドのうち、環状ADARリクルートRNA(circular ADAR-recruiting guide RNAs: cadRNA)は、シンプルな設計で強力な編集機能を発揮することが実証されている。研究チームはまず、A-to-I変換の観点から、7つの内因性遺伝子座などについて、Enhancing RNA base editing Fig. 12つのU snRNAとcadRNAと比較した [Fig. 1引用右図参照]
  • U1 snRNAはほぼ例外なくU7smOPT snRNAよりも編集性能が低かった。これは、U1 snRNAの方が分子が複雑で、スプライシング機構をリクルートする傾向が高いため、この制限効果が生じると推論し、残りの研究ではU1 snRNAを採用しなかった。
  • U7smOPT snRNAは7つの遺伝子座のうち4つでcadRNAに優り、特に、エクソン数が最も多い遺伝子であるSMAD4 FANCCの遺伝子座で、cadRNAの編集パフォーマンスを最も明確に上回った。すなわち、アデノシンからイノシンへの編集を一貫して増加させ、オフターゲット遺伝子を大幅に少なくし、また、ADARが発現する核に持続的に局在することが明らかになった。
 研究チームは、A-to-I snRNAを核に局在させ、A-to-II編集を強化することに成功したことから、同様のアプローチをU>Ψ RNA塩基編集にも適用した。rRNAおよびsnRNAのU>Ψ修飾(編集)を触媒するH/ACAボックスsnoRNAは、主に核小体に局在する。U7smOPT snRNAバックボーンとの融合により、プログラム可能な誘導型H/ACAボックスsnoRNAの核質局在が促進されれば、snoRNAが核小体から遠ざかり、コードRNAにおけるU>Ψ編集がより効率的に行われるようになると仮説を立て、これを実証するに至った。すなわち、標的RNAの擬似ウリジン化を促進し、嚢胞性線維症ヒト気管支上皮細胞モデルにおいて、ナンセンス変異を介したmRNA分解からのCFTRの救済を促進した。
 本研究の結果は、Enhancing RNA base editing GA遺伝性疾患治療のための内因性タンパク質を介したRNA塩基編集ツールボックスとRNA標的化技術を発展させるものである [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]
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[出典]Enhancing RNA base editing on mammalian transcripts with small nuclear RNAs” Smargon AA [..] Yeo GW. Nat Chem Biol 2025-09-18. https://doi.org/10.1038/s41589-025-02026-8 [所属] USDA, Yale University
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