
プライム編集(PE)は、逆転写酵素(RT)とCas9ニッカーゼ(nCas9)を融合し、これに、Cas9の標的となるスペーサー配列と、RTがゲノムに所望の編集を導入するために使用するテンプレートの両方を含むプライム編集ガイドRNA(pegRNA)を組み合わせたエディターである [右図モデル図参照]。このシステムは、Cas9ヌクレアーゼによる遺伝子編集と異なりDNA二本鎖切断を回避しながら、小規模な挿入、欠失、および置換を生成できるため、不要なインデルやオフターゲット編集が低減される。しかし、異なる手法や疾患モデルを用いた様々な研究で報告されている編集結果には大きなばらつきがある。
キングス・カレッジ・ロンドンの研究者達による本レビューでは、異なるモデルにおけるPEの性能、そして異なるアプローチがPEの効率をどのように向上または阻害するかを体系的に検証する。さらに、DNA編集効率の評価は時間を要するため、編集イベントを検出し、編集された細胞を選択するために使用されるレポーターアッセイについて考察する。最後に、検出されたPEの下流効果を検証し、モデル間のばらつきの潜在的な説明を検証する。
本レビューは、研究者にとって、選択した細胞モデルおよび動物モデルにおけるPEの挙動、そしてPE実験を効果的に分析およびトラブルシューティングする方法について貴重な洞察を提供する。
[出典] REVIEW "Prime Editing in Mammals: From Promise to Practicalities" Brooks IR, Graham C, Kazemizadeh A. Jacków-Malinowska J. Mol Ther Nucleic Acids 2025-09-20. https://doi.org/10.1016/j.omtn.2025.102719 [所属] St. John’s Institute of Dermatology & KHP Centre for Translational Medicine (King’s College London)
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