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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] VCP (valosin-containing protein : バロシン含有タンパク質)
 胆管癌 (cholangiocarcinoma: CCA) は依然として致死的な悪性腫瘍であり、治療の選択肢は限られている。中国の研究チームが今回、ゲノムワイドCRISPR-Cas9スクリーニングにより、CCAにおける重要な依存性因子として、アデノシントリホスファターゼ(ATPase)バロシン含有タンパク質(VCP)を同定した。
 化合物スクリーニングの結果、VCP阻害剤CB-5339は、細胞老化を誘導することにより、患者由来オルガノイド・パネルにおいて、CCAの増殖を強力に抑制することが明らかになった。
 しかし、老化細胞は残存することが知られており、これが治療抵抗性の一因となる可能性がある。研究チームはこの問題に対処するため、CB-5339と老化CCA細胞を選択的に除去するセノリティック剤(ABT-263およびコナツムマブ)の併用を試みた。その結果、in vitroおよびin vivoの双方で腫瘍抑制効果が増強され流ことが確認された。また、臨床分析の結果、CCA患者におけるVCPの過剰発現が、予後不良と相関することが示された。
 VCPを介した老化を標的とし、その後セノリティック剤による除去を行う「ワンツーパンチ (one-two punch)」戦略は、CCAに対する有望な治療法になっていく。
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[出典] "CRISPR screens identify the ATPase VCP as a druggable therapeutic vulnerability in cholangiocarcinoma" Yang W, Wang S, Ji S, Wang J [..] Qin W, Gao Q, Bernards R, Jin H. PNAS 2025-09-24. https://doi.org/10.1073/pnas.2519568122 [所属] Shanghai Jiao Tong University School of Medicine, Sun Yat-sen University Cancer Center, Shanghai Jiao Tong University, Oncode Institute/The Netherlands Cancer Institute (兼), Shanghai East Hospital/Tongji University, Zhongshan Hospital/Fudan University, Huashan Hospital/Fudan University
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