2026-06-14「基礎研究への投資を3分間で納得させる」のに使えそうな表現として、ここで、ピッツバーグ大学のTakashi D.Y. Kozai教授(生物工学)のBluesky投稿 (@bioniclab.bsky.social 2026-06-09) を引用しておきます
[右図はスレッドの冒頭のスクリーンショット]。なお、この投稿は、近年の米国の学術研究・科学技術予算のあり方に対する問題意識をベースにしているように見えます:
Nature Briefing が2025年10月30日に「基礎科学が世界を変える」と題して、Nature 誌の特集記事「世界を変えた7つの基礎科学の発見 - オゼンピック、MRI装置、薄型テレビはすべて数十年前の基礎研究から生まれた。まさに米国政府によって削減されているタイプの研究である。」[#1] への紹介を配信した。配信は「感染性病原体を検出可能にしたPCR検査は、温泉で採取された細菌の基礎研究から発見された酵素ポリメラーゼをベースとして開発され、脳をそのまま可視化するMRI装置は、原子核物理学の基礎研究から生まれた。薄型テレビでさえ、人参から単離された化学物質の研究にルーツがある。これらは、世界を変えた『ブルースカイ研究(blue sky research)』のほんの一例に過ぎない。現在、米国では政府よる大規模な資金削減によってこうした『後々広範な応用を切り開くことになる研究』が危機に瀕している」と警鐘を鳴らしている。果たして、こうした警鐘は然るべき人々に届くだろうか。COVID-19パンデミックの際に、「アンチ・ワクチン」の人々に「ファクト・データ」を示しても、その考えを変えさせることはなかったという報告があったことが思い起こされる。
[右図はスレッドの冒頭のスクリーンショット]。なお、この投稿は、近年の米国の学術研究・科学技術予算のあり方に対する問題意識をベースにしているように見えます://
過去50年間で医学を大きく変革したあらゆる技術は、資金提供を受けた時点では明確な応用例がなかった基礎研究に端を発している。MRIはスピン物理学から、CRISPRは細菌免疫から、mRNAワクチンは行き詰まりと呼ばれた脂質ナノ粒子研究の20年にも及ぶ研究から生まれた。
技術は飛行機だ。基礎研究は滑走路だ。人々は飛行機は見るが、滑走路は見えていても見てはいない。滑走路を敷設してから離陸するまでには20年から30年もの歳月がかかり、それが基礎研究を政治的に使い捨てにする要因となっている。
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営利企業がこの滑走路を建設することはない。ベンチャーキャピタルは7~10年でリターンを求め、製薬会社は標的の検証後に参入する。連邦政府の資金は、後に商業化される競争前の基礎研究に充てられなければならない。滑走路を短縮しようとする人々は、これを無駄なコンクリートと呼ぶ。だが、こうなったことは我々研究者と社会の責任だ。
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2025-10-30 Nature Briefing に準拠した初稿//
Nature Briefing が2025年10月30日に「基礎科学が世界を変える」と題して、Nature 誌の特集記事「世界を変えた7つの基礎科学の発見 - オゼンピック、MRI装置、薄型テレビはすべて数十年前の基礎研究から生まれた。まさに米国政府によって削減されているタイプの研究である。」[#1] への紹介を配信した。配信は「感染性病原体を検出可能にしたPCR検査は、温泉で採取された細菌の基礎研究から発見された酵素ポリメラーゼをベースとして開発され、脳をそのまま可視化するMRI装置は、原子核物理学の基礎研究から生まれた。薄型テレビでさえ、人参から単離された化学物質の研究にルーツがある。これらは、世界を変えた『ブルースカイ研究(blue sky research)』のほんの一例に過ぎない。現在、米国では政府よる大規模な資金削減によってこうした『後々広範な応用を切り開くことになる研究』が危機に瀕している」と警鐘を鳴らしている。果たして、こうした警鐘は然るべき人々に届くだろうか。COVID-19パンデミックの際に、「アンチ・ワクチン」の人々に「ファクト・データ」を示しても、その考えを変えさせることはなかったという報告があったことが思い起こされる。
米国と対照的に中国では、2025年3月3日付の人民日報日本語版 [#2] によると、2024年の研究開発(R&D)費総額はGDPの2.68%に相当する3兆6130億元(1元は約21.4円)と前年比8.3%増と世界第2位を維持し、注目すべきことに、その中で、基礎研究費が2497億元(~5.2兆円)と前年比10.5%増となり、研究開発費に占める比率も6.91%と前年比0.14ポイント上昇していた。
日本はどうだろうか。科学技術・学術政策研究所のデータ [#3] によると、日本の科学技術予算のGDP比は、2022年 1.68%, 2023年 1.59%であった(民間も含めると3%超)。そのアウトプットとして、ここ数年、特許件数は世界1位を維持しているが、国際的に評価が高い論文数ランキングなどは年々低下し [#4, 5]、ここ数年、日本からのノーベル賞受賞者は全て「基礎研究の強化」(言い換えれば、「基礎研究の危機」)を訴え続けている。
2025年のノーベル賞生理学・医学賞と化学賞の同時受賞を受けて、自民党は、2025年8月(当時、石破政権下)に発表した提言 [#6] を引用した「"若手研究者の挑戦を応援します!ノーベル賞10年ぶりに日本人が同時受賞" 」という記事を配信した [#7]。その中の「基礎研究力の回復が急務」の項にて「基礎研究力の低下の原因は研究費総額・配分方法等、多岐にわたります。提言では『地道な対策と時間が必要』として、若手研究者の挑戦を後押しする具体的な施策を詰め込みました。」としている。また(どういうわけか)「AI活用の戦略方針を」の項の冒頭で「提言が示した基礎研究力回復に向けた施策の柱では、公的研究資金の大幅拡充や民間投資の呼び込み等、資金面の課題解決を提唱。教育専任教員が不足し、研究者が研究以外の職務に時間を取られて、研究に専念できない問題もあることから、サポート人材の基盤強化等を現場の課題解決も提言しました」としている。
一方で、2014年5月6日のOECD閣僚理事会の基調演説で,安倍総理は「... だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。"と述べた [#8] 。安倍総裁の後継とされている高市総裁・総理は、トランプ米大統領が同盟国に対して常々GDP比5%にひきげるように求めていた中で、大統領の訪日前の2025年8月24日の所信表明演説で防衛費を2025年度中にGDP比を(~1.8%から)2%へと引き上げる方針を発表した。自由民主党科学技術・イノベーション戦略調査会の提言が高市政権で果たして生かされることがあるのか、注目される。
[出典]
- NEWS FEATURE "7 basic science discoveries that changed the world - Ozempic, MRI machines and flat screen televisions all emerged out of fundamental research decades earlier — the very types of study being slashed by the US government." Marshall M. Nature 2025-10-29. https://doi.org/10.1038/d41586-025-03474-x
- ニュース "中国の2024年の基礎研究費、前年比10.5%増の2497億元" 人民日報日本語版 2025-03-03. https://j.people.com.cn/n3/2025/0303/c95952-20283679.html
- 科学技術指標2025 (HTML版) 統計集. 文部科学省 科学技術・学術政策研究所、科学技術指標2025、調査資料-349、2025年8
https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2025/RM349_table.html - 2023-10-27 [ニュース] 日本の研究はもはやワールドクラスではない, 日本の経済も然りか?https://crisp-bio.blog.jp/archives/33606308.html
- [20230812更新] 研究のアウトプットの質で中国が米国を凌ぎつつある一方で、日本の低落続くhttps://crisp-bio.blog.jp/archives/30049162.html
- 自由民主党科学技術・イノベーション戦略調査会「第7期科学技術・イノベーション基本計画に関する中間提言 〜 科学技術創造立国「再興の10年」への羅針盤〜」https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/211366_1.pdf
- お知らせ "若手研究者の挑戦を応援します!ノーベル賞10年ぶりに日本人が同時受賞" 自民党 2025-10-16 https://www.jimin.jp/news/information/211596.html
- OECD閣僚理事会安倍内閣総理大臣基調演説. 2014年5月6 https://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/exdpm/20140506.S2J.html
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