研究者達が捉えたCRISPR–Casシステムの多様性は拡大し続けている。Eugene V. Kooninを責任著者として、ノーベル化学賞受賞者お二人に加えてFeng Zhang、Francisco J. M. Mojica, Virginijus Siksnys, Rodolphe Barrangouなどなどが共著者に加わって更新されたCRISPR–Casシステムの進化分類体系がNature Microbiology 誌から刊行された。
更新されたCRISPR–Cas分類は、2つのクラス、7つのタイプ、46のサブタイプを含み、5年前の前回調査における6つのタイプと33のサブタイプから大幅に増加した。
さらに、タイプIIIシステムにおける環状オリゴアデニル酸依存性シグナル伝達経路の分類も示した。また、最近特徴づけられたCRISPR–Casの代替機能、特に標的DNAを切断するタイプIVバリアントと、切断せずに標的複製を阻害するタイプVバリアントについても考察を加えた。
ゲノムおよびメタゲノムにおけるCRISPR–Casバリアントの存在量の解析により、以前に定義されたシステムは比較的一般的であるのに対し、最近特徴づけられたバリアントは比較的稀であることが示された。これらの存在量の少ないバリアントは、原核生物およびそのウイルスにおけるCRISPR–Cas分布のロングテールを構成しており、実験的に特徴づけられることを待っている。
[CRISPRーCas分類体系の推移]
- 2011年版 "Evolution and classification of the CRISPR–Cas systems" Makarova KS et al., Nat. Rev. Microbiol. 2011-05-09/Jun. ;2つのクラス, 3つのタイプと10のサブタイプ
- 2015年版 "An updated evolutionary classification of CRISPR–Cas systems" Makarova KS et al., Nat. Rev. Microbiol. 2015-09-28/Nov. ;2つのクラス, 5つのタイプと16のサブタイプ
- 2020年版 "Evolutionary classification of CRISPR–Cas systems: a burst of class 2 and derived variants" Makarova KS et al., Nat. Rev. Microbiol. 2019-12-19/2020 Feb. ;2つのクラス, 6つのタイプと33のサブタイプ
- この図は、CRISPRーCasシステム7種類の遺伝的、構造的、および機能的構成の関係を示している。タンパク質名は現時点の命名法に従っている。
- クラス1のCRISPR–Casシステムでは、エフェクターモジュールは複数のCasタンパク質から構成され、crRNA結合複合体を形成し、標的への結合と切断において協働して機能する。
- クラス2のシステムは、クラス1のエフェクター複合体全体と機能的に類似した単一のマルチドメインcrRNA結合タンパク質を有する。
- サブタイプIII-Eはクラス1の例外であり、単一のエフェクタータンパク質はタイプIII-Dシステムに由来する複数のドメインで構成されている。
- 各タイプにおいて、破線で囲まれている構成要素は、そのタイプには不要、そして/または、一部のサブタイプやバリアントでは欠落していることを意味する。
- Cas6は、タイプIでは一部のシステムでは不要ですが、ほとんどのシステムでは必須であるため細い実線で示され、タイプIIIでは、これらのほとんどが他のCRISPR–Cas遺伝子座からトランスで提供されるCas6タンパク質を使用していると思われるため、破線で示されている。
- 新型のタイプVIIには、2つのドメイン(Cas10のC末端に相同なドメインに融合したβ-CASPファミリーRNase)から構成される独自のエフェクタータンパク質(Cas14)が存在する。
- Cas9、Cas10、Cas12、Cas13のように色が途中で変えられているのは、それぞれこれらのタンパク質がCRISPR-Cas活性の異なる段階に寄与していることを反映している。
- クラス1タイプIIIにおいて、単一タンパク質に融合されることが多いCARFドメインとHEPNドメインは、それぞれタイプIII補助モジュールで最も一般的なセンサーとエフェクターであるが、いくつかの代替センサーとエフェクターが特定されている。RINGヌクレアーゼ(Crn)は、Cas10によって生成された環状オリゴAを切断し、CARFタンパク質のHEPNドメインの無差別RNase活性を制御する。
- 図の2つの最下段のHRAMPとARAMP は、タイプ III から派生したアレイのない CRISPR のようなシステムで、通常は異なるヌクレアーゼ (ほとんどの場合、HNH および PD-(D/E)xK ファミリー) に関連付けられている。
[挿入図リスト]
Fig. 1: Modular organization of CRISPR–Cas systems.- Fig. 2: New class 1 CRISPR–Cas systems.
- Fig. 3: The built-in signalling pathway of type III CRISPR–Cas systems.
- Fig. 4: New class 2 CRISPR–Cas systems.
- Fig. 5: Distribution of CRISPR–Cas systems across bacteria and archaea.
- Fig. 6: Main trajectories and processes in the evolution of CRISPR–Cas systems. [右図に引用]
[出典] "An updated evolutionary classification of CRISPR–Cas systems including rare variants" Makarova KS, Shmakov SA [..] Koonin EV. Nat Microbiol. 2025-11-06. https://doi.org/10.1038/s41564-025-02180-8[所属] 米国, カナダ, 英国, デンマーク, フランス, ドイツ, オランダ, スペイン, ロシア, リトニア各国の研究機関

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